リアリスト・リペアマニュアル
ステレオリアリストを修理したい。こんなときどうしよう。昔のカメラだから、修理してくれるところなんてないだろう。初めてカメラを手にしたときにそう思った。それぐらい昔のものに思えたからね。
実際にはこの手のカメラを修理してくれる専門のショップはあるので、お金はかかるけどどうにかなる。その辺りに気が付いた時にはもうこのリペアマニュアルを購入していた。エド・ロムニーの「stereo-REALIST CAMERA REPAIR」である。全文英語。
この本はアメリカのEdward H Romney氏が書いたもの。彼はカメラの専門家のようで、リアリストに限らず各種カメラについてこのような本を出している。僕がこの本を購入したコスモシステム研究所の説明によれば、これらの本はロムニーブックといい、ロムニー氏がタイプライターで作成した原稿をもとにCanon 6600 Copierというコピー機を使って家内工業的に作っているもの、だそうだ。日本国内ではカメラ修理の資料が皆無という状況にあり、ロムニーブックを輸入し販売しているということだった。
内容は修理マニュアルというよりは、リアリストとはどのようなカメラなのかということを紹介しており、なかなか興味深いものだった。修理に関する情報としては、内部の構造がわかる写真数点と、これを解説した記述があるが、これを見れば素人でも修理ができるというものではない。だけど、内部の構造について丁寧に紹介されており、実際にカメラを分解しながら読み進めると、リアリストの設計コンセプトのようなものまで読み取れるような気がして面白い。
驚くべきは、この本でもビュアーや付属品に関する記述があり、単純なカメラメカの解説本にとどまることなく「ステレオ写真の楽しみ方」というような視点で書かれていることだろう。フィルム時代の立体写真については、日本より欧米の方がずっと進んでいたし、立体写真を心底愛好している人達がたくさんいたということが改めてわかる。そういう意味でも貴重な資料だと思う。
投稿者 J_Sekiguchi : 2017年11月02日 10:00
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