STEREO CLUB TOKYO

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ビューマスター

 いわゆるリアリストサイズのステレオスライドを観賞するビュアーを紹介する前に、ビューマスターについておさらいしておこう。ビューマスターはリアリストサイズよりずっと小さな画面のステレオスライドがセットされた円盤を、専用のビュアーを使って立体観賞するシステムである。優れているのは、円盤には7組のスライドペアがセットされていて、ビュアーのレバーを操作するだけで次々画面が切り替わる。
 円盤はビューマスターリールといい、主にソフトウエアとして量産されたものが大量に販売されていた。それは観光名所の風景だったり、子供向けの童話やアニメーションを題材にしたものなど。個人で撮影ができる専用カメラと、自分でリールにスライドフィルムをセットできるようにする道具も販売されていたが、これらはビューマスターのヒットに続いて個人向けに展開されたもののように思う。
 ビューマスターは1940年代からはじまった。つい最近になっても、米国おもちゃ大手のマテル社がこのシステムを継承した新しい商品を展開するというニュースが出た。21世紀の始めまで、国際空港のお土産物屋にはかならずビューマスターのビュアーとリールがセットになって売っていた。ロングセラーであると共に、莫大な数のビュアーとリールソフトが販売されたオバケアイテムなのだ。リアリストをはじめとするステレオカメラのシステムなんて、ホントちっぽけに見えるぐらいの巨大なステレオ・マーケットを形成していたというわけだ。
 なぜこんなに長く人々に愛されたのか。それは何より、ビュアーを覗くと立体映像が、臨場感あふれる画像が、日常では経験できない見たことのない景色が広がるのだ。わくわくする映像を自分独り占めにして観賞できる。この独り占めというところが大事ね。
 ビューマスターの成功は、簡易な、安価なビュアーでありながら、感動を与えるのに十分な性能を持っていたというところだ。21世紀になってデジタルのステレオカメラが登場したが、残念なことに収束してしまった。僕はこう考える。デジタルのシステムは、ビューマスターシステムのようなビュアーを用意しなかった。ビューマスターのようなデジタル化したビュアーがあればどんなにヒットしたことだろう。


投稿者 J_Sekiguchi : 2016年05月05日 10:00


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