STEREO CLUB TOKYO

« VMパーソナルのケース | メイン | Hive box »

ネジの補修

 カメラの分解とか組立で怖いのがネジ山のつぶれ。ちょっとした力の入れすぎで、止まるはずのネジが空回りしたときのあの嫌な感覚といったら。力を入れたつもりはなくても、繰り返しネジを回しているとネジ山がくたびれてくる。いつ空回りするかわからないのは黒ひげ危機一髪と同じドキドキ感です。
 とはいえ、どんなネジもこんなふうになるのではなく、ネジ穴が切られている方の素材がアルミや樹脂だったりする場合に起きやすい。つまり、壊れるのはネジ穴の方のネジ山だ。ネジ本体の方はたいがい硬いスチールでできているので、素材の硬さのアンマッチが引き起こす厄介な現象というわけだ。
 これを防止する方法にヘリサートを使うことがある。やや大きめのネジ穴を作っておいて、スチール製のバネのような形の「ヘリサート」をねじ込んでおく。こうするとネジ穴が補強されるので、壊れる確率がぐっと低くなる。コストアップになるので頻繁に使われることのないこの方法、修理に応用することができる。
 ペンタックスの昔のワインダーは、樹脂製の電池室の蓋に直接ネジ穴加工をしている。ここが壊れている機体は多い。これを修理したのでご紹介。ネジサイズはM3。スチールナットを買ってきて、外側をヤスリで削る。薄くなるまでひたすら削る。削る・・・そうするとパイプ状の部品ができる。元のネジ穴を広げて挿し込み、エポキシ接着剤で固定する。ヘリサートとは違うけど、こういった薄いネジも補修可能な応用だ。
 アルミボディのステレオリアリストにも、ネジ穴の怪しい機体があるのだけど。いずれこの方法を使おうと企んでいる。ヤスリ一本と根気があればけっこういろんな部品が作れたりするという一例でもあり。


ネジ補修前.jpg
左から加工前のナット、加工後のナット、同じサイズのネジ

ネジ補修後.jpg
上手に固定すれば違和感のない仕上がりに。

投稿者 J_Sekiguchi : 2014年03月13日 10:00


URL: http://here.there.jp/mt-tb_there.cgi/3861