STEREO CLUB TOKYO

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続・ステレオ10のひみつ④

 いよいよ最終組立です。距離計もユニット化されていますが、ここの設計が納得いきません。製造時の組立は治工具の併用で簡単にしていたのでしょうが、メンテナンス性は最悪です。ちょっとファインダーを清掃しようかな、なんて開けたら大変です。距離計の調整がとてもやりにくくなっている。繰り返すけど、無用な分解は禁物ですよ。
 まず、フィルムレールにピントグラスを当てて、遠距離の実像で無限遠を出す。この状態で距離計の二重像が合致するようにミラーを、フォーカスダイヤル軸に直結した駆動カムを動かして調整します。問題は、距離計を観察しながらカムの調整ができません。トップカバーをボディに組付けないと距離計が使えず、トップカバーの外からカムにアクセスできないのです。仕方なく、今回はトライ&エラーで近付け、最後はミラーの固定ネジのアソビで追い込みました。
 カムと連動するミラー駆動のレバーは板を2枚重ねた構造で、製造時はこの板をずらして調整したようです。トップカバーの革張の下には沢山の穴が開いています。調整のためのアクセスホールです。ここから工具を入れて調整をし、さらに接着剤を使って固定していたようです。アクセスホールの中には目的がわからないものもあります。
 文章で構造を説明するのは難しいのですが、大変だというのが伝われば幸いです。今回、距離計の調整が成功したのは幸運というほかありません。さあ、あとはとっとと仕上げ、革張りを換えましょう。トップの革はアクセスホールを隠すため・・・こんなことをするなら、開口部を作って金属板で蓋をしたほうがマシだと思いますが。
 せめてここはかっこよく仕上げましょう。劣化のひどい合成皮革は捨て、黒のトカゲ革に換えます。うろこの向きをよく見て切り出します。慎重に貼り付け、最後に一連の動作確認をし、ストラップをつければ完了です。

キング④.jpg
つづく

投稿者 J_Sekiguchi : 2013年10月10日 10:00


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