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続・ステレオ10のひみつ③
ステレオ10の巻き上げ制御は、巻き上げ軸のギアに集約されています。1回に10スプロケットの送りは、1回転ごとにストッパーがかかるギアで制御されています。巻き上げカウンターのダイヤルをRに合わせると、このストッパーが跳ね上げられてフリーになります。でもこれだけではスプロケットギアがフリーにならず、巻き戻しができません。
巻き上げ軸はカメラ底部のギア機構にもつながっています。カウンターダイヤルをRにし、巻き上げノブを逆転すると、ここを伝い、スプロケットギアの勘合を解く仕組みです。勘合の解除は先に述べたカム形状を持ったギアで行ないます。底部のギアはシャッターチャージのために、回転運動をクランクで往復運動に変える働きもします。
次にシャッターユニットを点検しましょう。シャッター制御機構は右レンズに集約されています。機構としては一般的なレンズシャッターと同じ。ガバナーに固着がある場合、注油などしたいところですが気をつけましょう。シャッター羽に油が回りやすい構造をしています。今回は分解せず、輪列の軸部にごく僅かに注油するにとどめました。
左右のシャッターは連結棒でつながり、左シャッターにはシンクロ接点があります。ストロボ同期になるよう調整したいところですがちょっとやりにくい。ストロボをつないで発光させ、開口部の残像を確認するのがよいでしょう。
ここまでの作業で、レンズユニットとボディの製造は別の会社で行なわれていたという憶測が沸いてきました。それだけでなく、設計も別の会社で行なわれていたと考えるのが自然に思えてきました。ユニットを設計込みで外注に出すというのは製造業として当たり前に行なわれることですが、全体設計がうまくないと良くない製品が生まれます。このカメラでは、レンズとボディのインターフェイスが単純化されているので成功していますが。さてさて、組立てよう。
このユニットはよくできています。まさに中核。
投稿者 J_Sekiguchi : 2013年10月03日 10:00
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