潤滑油の考察
カメラに限らず、機械には潤滑剤が使われる。つまりは機械油。潤滑剤の役割は、金属などの接触面の間に薄い膜を作ることで抵抗を減らしたり、接触面が高速で摺動することで生じた熱を伝達し、拡散させることである。
もう一つの目的は、金属表面を油の膜で覆い、空気と遮断し錆を防ぐこと。ただし多すぎる油の塗布はあちこちに回り込んで、本来の目的以外に、機械構造に悪影響を及ぼすこともあるから注意したい。
一口に油といってもいろいろな種類がある。まず、粘度。さらりとした油もあれば、ねっとりとしたものもある。特に粘度が高いものにグリス。これは油と石鹸を混ぜ合わせたものだ。これにも豊富な種類がある。
カメラのシャッター機構や時計に使われる油は比較的さらりとしたものが多いが、気をつけなければならないのは低温でも粘度が上がらないこと。油は一般的に温度が下がるほど粘度が上がる。冬場の寒冷地で使うときなど、作動不良につながるからだ。低温でも粘度が上がらないことだけでなく、実用温度の範囲で粘度変化が少ないものが、安定した機械動作に不可欠ということになる。こう考えると、油の選定はとても大事に見えてくる。
それに、油はそれ自体が酸化して性質を変えるから、精製度合いの低いものを使うのはダメなのだ。 鉱物油、つまりは石油由来の油というのも便利だけど、石油系の油でも精製度合いが低いものは硫黄分が多く、これも長期間の使用には変質の元になる。また、スプレー入りの潤滑油は揮発成分が多く、これも向かない。
僕は、妻殿がお肌に使っているスクワランオイルをちょっと借りて使っている。深海ザメの肝臓から精製した油。低温でも安定している。とってもいい油なんだけど、とっても高価である。だから、ほんのちょっとだけもらう。
投稿者 J_Sekiguchi : 2013年03月14日 10:00
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