STEREO CLUB TOKYO

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金属の話

 金属カメラの話をしよう。カメラにはいろいろな金属が使われている。強度のある金属、軽い金属、弾力のある金属、電気をよく通す金属など。必要に合わせ選ばれている。アルミ合金や銅合金、そして鋼。
 カメラに使われる金属の代表はアルミであると一般的に思われているだろう。それは軽くて強度のある金属として、コスト的にも有利なアルミ合金が昔から採用されている。特にボディの骨格に多用され、メーカーも積極的にコマーシャルしたから認知度が高いのだろう。もちろん、リアリストにも使われている。
 だが、硬くても折れない粘り強さ、磨耗しにくく、それでいて加工がしやすい、という優れた性質を持つのが鉄だ。鉄は炭素含有量により、硬さと強さ、粘り強さが大きく変わり、添加する合金成分でさらに性質を変える。焼入れなどの熱処理を加えると、さらにその性質は多様化する。機械に鉄は欠かすことのできない素材だ。
 高性能で信頼性の高いカメラを作るには、良質の鉄系合金、つまりは鋼が重要なポジションを占めている。リアリストが作られた時代は、均質で良質な鋼を作るために技術者が多くの苦労を背負っていたことだろう。良質の鋼を作ることは文明の発達に直結し、さらには国家存続に不可欠だった。鋼は産業に最も重要な素材なのだ。
 銅合金に比べると鋼は削りにくくコストが上がる。だがリアリストの内部をみれば、小さくても強度が必要な軸は鋼でできている。一見鋼のように見える部品もほとんどは銅合金にメッキをしたものだが、ここに立てている小さな軸が鋼。それに鋼の軸と銅合金の歯車は焼きつきがしにくい。ただし、鋼といっても様々。リアリストの部品の中でもここは特に負荷がかかるだろうなという部分には、良質の鋼が使われているのだと推測する。いいねぇ。


▲鎌のような形の部品はシャッター羽。薄い鋼板が使われています。

投稿者 J_Sekiguchi : 2013年02月28日 10:00


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