STEREO CLUB TOKYO

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ピンセット

 マウント作業にピンセットは持っておいたほうがいい。自分にあった、使いやすい一本があればいい。カメラの修理に使うやつではなかなかしっくりこない。フィルムを取り扱うのに便利なやつが一つ欲しい。
 ピンセットと一口に言っても、いろんな種類がある。先端が鋭く真っ直ぐなもの、ギザギザが付いているもの、鶴の首のように曲がったもの。大きさもバネの効きかたも様々だ。どれも用途に合わせて作られている。
 こういうのがいいのかなあ、と常々思っているのが、切手用のピンセットだ。なんだそれ?という方もいらっしゃるでしょう。僕が小学生の頃、切手収集が大ブームになったことがある。誰もが学校に持ってきてはいけない切手帳をランドセルに忍ばせ、仲間同士で物々交換に興じたのである。何しろ、その頃はニンテンドーなんて無かった(会社としての任天堂は存在していたが、当時は花札やトランプの会社だったからね)。
 このとき、素手で切手を扱うことがとても忌み嫌われたのだ。切手を扱うにはピンセットを使うのが常識、という認識が広まると、誰も彼もが専用のピンセットを携帯した。先端がカモノハシの口のようなヤツだ。
 そのピンセットは金属製で、上手に使わないとかえって切手を痛めてしまう。そんなことに気が付いた者もいたのだが、一度「常識」がセットされると、手で触れた切手の価値は無い、だからやっぱりピンセット・・・だった。
 そんな思い出もあって、便利そうな切手用ピンセットはまだ使っていない。手元にあるのは、使い古して先端も研いで丸まった、くたびれた一本だ。だけど、僕のマウント作業にはこれが一番しっくりくるのである。ヒンジのところが壊れそうだったので、新しく似たようなものを買ってきたのだけど。やっぱりイマイチだった。

投稿者 J_Sekiguchi : 2013年02月14日 10:00


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