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日本最古の湯

 僕は温泉が好きだ。日本に住んでいてよかったと思うことの一つが、日本各地に様々な泉質の温泉があるということだ。どこかに旅行に行くときも、地図を広げて近くに温泉マークがないかと探す。温泉があるというだけで、入浴ができないという状況もあるのだが。やはり、古くから温泉街として栄えてきた場所というのが歴史もあって面白いものだ。
 有名な温泉街は、ネットでも書籍でも、ちょっと調べればいろいろ知ることができる。以前から気になっていたのが、四国・松山市にある道後温泉だ。道後温泉本館という入浴施設は歴史のある建物で、ガイドブックで見る写真からも趣のある雰囲気が伝わってくる。過去には皇族の方々が入浴されたとも聞く。これは一度、行ってみるべきだろう。
 とある夏の終わり。松山市へ広島港からフェリーに乗る。車で橋を渡って行くこともできるが、やっぱり船は楽である。昼寝をしながらのんびり。海を眺めてのんびり。波の少ない瀬戸内海は、大きく船が揺れることもなく、快適。
 道後温泉には市内から路面電車に乗り、終点で降りる。道後温泉本館はすぐ近く。中に入ると、あちこちのつくりの古い感じがたまらない。湯船は石造りで、癖のない単純泉が溢れている。ここの湯は沸かさずとも熱い湯が地中から出ているのだ。大地のエネルギーが湯を介して体に染み渡る。そんなイメージを膨らませながらゆっくりと浸かる。
 すっかり温まった後、上の階に行き、広い座敷でくつろいだ。お茶とお菓子をもらい、至福のときを過ごす。外は夕立だろう、遠雷が聞こえてくる。雨があがるまで、この趣のある建物を楽しませてもらう。あたりを見渡すだけで面白い。皇族の方々が使われた部屋や湯船も見学させてもらった。階段を上ったり降りたり、家屋の作り自体も面白い。古いけど、手入れのされた温かみのある空間がここにはある。日本に住んでいてよかったと思う、もう一つのことである。

投稿者 J_Sekiguchi : 2012年11月22日 10:00


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