姿なき撮影者
機械とエレクトロニクスが出会い、メカトロニクスという言葉が生まれた。だが、今やそんな言葉は死語になっている。今の世の中の機械で、電気的な制御がされていないものの方が珍しい。カメラもしかり。
およそ10年前、まだデジタルカメラに今のような勢いがないころの話。アフリカ皆既日食を撮影するため、急きょ中古で購入したのがキヤノンのEOS 10QDだった。このカメラを購入した理由はただ一つ。セットしておけば多重露光とインターバル撮影が自動でできるからだった。当時にしてみれば電子ロボットと呼ぶにふさわしいモノ。
日食の途中経過を、5分おきに同一のコマ内に多重露光する。既に持っているカメラでも多重露光はできる。フィルム送りを止めて、5分おきに自分でシャッターを切ればいい。だが、正確な時刻に操作するのは大変なのだ。こんな面倒な操作を、10QDは自動でやってくれる。たった一コマを撮影する、それだけのために購入したカメラ。
実際10QDは素晴らしい働きをした。三脚に据え、設定を確認して定刻通りにスタート。あとは放置。現地のヒトもビックリ。オゥ・・・オゥトマチックキャメラ・・・。興味深げに近づくのでハラハラした。撮影中だよぅ。
多重露光モードになっているので、シャッターを切った後に巻き上げ音がしない。だからうっかりその存在を忘れかけることも。多重撮りは10QDに任せて、僕はリアリストでステレオ撮影に専念。ホント、集中できた。
10QDのおかげでいい一コマが撮れた。ただ、惜しかったのはレンズの性能。キヤノンレンズは持っていなかったので、セットの望遠ズームを購入した。これがいけなかった。レンズ内で乱反射した光がゴーストとなって現れたのだ。幸い、トリミングで処理できる程度だったのが不幸中の幸い。以来、僕にズームレンズは禁忌となった。
金環日食では出番が・・・ない予定デス。。。
投稿者 J_Sekiguchi : 2012年05月17日 10:00
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