STEREO CLUB TOKYO

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斬鉄剣参上

 フィルムステレオカメラ愛好家の方々には益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。さて、マウント台紙はクラフトロボで切り出しておられると思いますが、これのカッター刃はどの程度の耐久性を持つのでしょう。僕もかれこれ千枚を超えて切り出していると思いますが、一向に切れ味が劣る気配を見せません。あんなにちっさい刃なのにね。
 そんな心配をしていたある日、カットがずれることが続いた。突然の異音。刃先が引っかかって送りのギアが悲鳴をあげているようだ。これはいよいよ刃がダメになったかな、と感じ、実体顕微鏡を持ち出して刃先を見てみた。
 顕微鏡のフォーカスを合わせてゆくと、鋭利な刃先が立体的に浮かび上がる。こういうとき、実体顕微鏡はいい。刃の角度がどのぐらいになっているのかもよくわかる。驚いたのは、刃先に刃こぼれや摩耗がほとんどない。先端の方がわずかに丸みを持っているかなあという程度で、切れ味に影響するような欠陥は見つけられなかった。
 この刃は超硬合金でできている。炭化タングステンとコバルトの粉末を混合し、焼結した素材だろう。ダイヤモンドに次ぐ硬さのはずだ。ためしに砥石をあててみたが、研ぐことができないほどの硬さだ。鋼の刃よりもずっと硬い。
 よく調べると、異音の正体はカッティング台紙から剥がれかけたワークが引っかかって起きていることがわかった。カッティング台紙を新しいものに交換し、さらに用紙1枚からマウント4枚を切り出すデザインに変更し、ワークの引っかかりが起きないように配置を整えた。さらにテストカットをしながら微修正を加えてゆく。
 楽に大量にカットできるようデザインを変更し、約300枚のマウントを1日で切り出した。刃先は少しも鈍っていない。気をつけねばならないのは、超硬合金は硬いが、衝撃を受けると欠ける。無理な力は禁物。ご注意を。

カッター刃.jpg

投稿者 J_Sekiguchi : 2012年05月24日 10:00


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