STEREO CLUB TOKYO

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東京天文台

 夜空の明るい東京。星が見えない東京。その東京には大きな天文台がある。国立天文台である。“くにたち”じゃないよ。“こくりつ”だ。でも、場所は“くにたち”からちょっと都心寄りの三鷹にある。昔は東京天文台という名称だった。
 ここには世界屈指の大望遠鏡がある。カール・ツアイス製65cm屈折望遠鏡だ。最近では小さな天文台でも65cm級の望遠鏡がある。だが、それらは全部反射望遠鏡なのだ。超大口径のレンズを使った屈折式望遠鏡はいまでもかなり珍しい部類に入る。口径は同じでも屈折式は巨大なシステムになる。今の時代、巨大な屈折望遠鏡は作られていない。
 国立天文台は予約なしに一般見学ができ、現役を退いた大望遠鏡達を間近に見ることができる。これらは、どれも昭和初期に設置されたものばかり。今では新たに作られることのない、巨大な望遠鏡の姿はまさに圧巻だ。
 天文台の大きなドームがある建屋に一歩踏み入れると、古い設備であることがすぐに感じられる。屈折望遠鏡はミラーを使った反射望遠鏡よりも全長が長い。ドームも巨大なものになり、天井が高い。なんとドームは木でできている。
 不思議な雰囲気の場所だ。未知の世界を探求した人々の思いが残っているような気がする。奥の方から、白衣を着た白髪の博士が登場しそうな感じ。今では使われていない望遠鏡だが、今でも使用できる状態にあるという。
 望遠鏡があまりにも巨大すぎて、カメラのフレームに納まらない。僅かな明かりが高い天井をほのかに照らしている。薄暗い室内。スローシャッターで露光をしなければならない。ドーム天井の木の雰囲気が出るよう、慎重に露出を決定する。三脚を持ってこなかったので、呼吸を整えてシャッターを切る。この雰囲気をステレオで残したい。
 ドームの外には、満天の星空が広がっている姿を想像しながら撮影した。かつてはそこにあった、素晴らしい星空を。

大赤道儀室.jpg

65センチ屈折.jpg

もと画像(フィルム)は、雰囲気を出すためにアンダー気味に露光しています。
WEBでは黒がつぶれすぎて見えずらいため、コントラストと明るさを上げています。
そのためざらついた画面になっていますが、ビュアーを通してみたフィルムは透明感が素晴らしいですヨ。

投稿者 J_Sekiguchi : 2011年12月29日 13:00


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