①スウェーデン
フィルムカメラを使う者なら、誰でも一度は憧れたことがあるハッセルブラッド。かつて、アポロに載って月面の鮮明な映像を地球に持ち帰ったのはハッセルブラッドだった。では、この素晴らしいカメラを生み出した国はどこかと問われ、即答できる人は少ないのではないだろうか。ノーベル賞で知られるアルフレッド・ノーベルの故郷、スウェーデンである。
スウェーデンは、かつて中立主義を取りながら、兵器産業を維持してきた歴史がある。それらを含めて工業国としての技術力はかなり高い。アポロに載せるカメラを作ることができたのも、この国の工業技術が支えていたのだ。
6月のある日、この国の首都、ストックホルムを訪れた。この時期の北欧は夜が短い。21時ぐらいはまだ空も明るく、23時頃になってようやく暗くなってくるというところ。しかし、到着したときには街中が闇に包まれていた。
旅の疲れもあって、ぐっすり寝たつもりだったが、時差のせいで早く目が覚めてしまう。ホテルの外に出てみると、古風な、荘厳な建物が、通りの向かいから語りかけてくるようだ。旧中央郵便局だという。こんな建物があちこちにある。
朝の4時ということもあり、通りには人影も少ない。太陽がまだ低い位置にあるため、ちょっと肌寒い。街の雰囲気は良いものの、通りにゴミがこれでもかというぐらい散乱しているのには閉口した。これでは撮影どころではない。
やれやれ、早起きは三文の得とは、たいした得でもないという意味か、などと思いつつホテルに引き上げる。ちょっと早めの朝食をとり、ゆっくりとコーヒーを飲んでから再び通りに出てみると、雰囲気が一変していた。
たくさんあったゴミどもは、清掃車が一掃し、通りは仕事に向かう人々であふれている。今日の一日が始まるという感じ。あわててカメラを取りに部屋に戻り、この風景を撮影した。では、スウェーデンの旅、お付き合いいただこう。(つづく)
▲早朝の街は人影も少なく、タクシーだけが通る
▲旧郵便局の玄関
投稿者 J_Sekiguchi : 2011年07月21日 10:00
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