アテネにて
アテネの市街は、静かで落ち着いた雰囲気がある。東京のビル街や、繁華街のようなあわただしい気配がない。石畳の小道を行くと、土産物屋やカフェが軒をつらねる。土産物屋にちょっと入ってみる。ここは、銀細工のアクセサリーを売っている店のようだ。様々な銀細工が並べられている。こういうのを眺めて回るのは楽しいものである。
細工物のデザインの中で、渦巻き模様を連ねたものが多いことに気がついた。一見すると中華皿の縁に描かれている渦巻きに似ている。中国文化の影響があるのだろうか。店の人に聞くのだが、どうにも言葉がうまく伝わらない。どうやら、古代ギリシャ神殿の柱の装飾に見られる渦巻き模様、これを象っているということらしい。後で調べると、中国で使われている渦巻き模様よりギリシャのものの方が古く、中国の方が影響を受けた可能性もあるらしい。
店の雰囲気が良かったので長居をしてしまった。渦巻き模様の神秘さに惹かれ、いくつか細工物を購入した。銀は黒くなりやすく、鈍い光を放っている。店の人がちょっと待っているように告げて店の外に出て行く。すぐに戻ってきたが、銀を磨いてきたようだ。彼の手にあるものは、銀特有のやわらかい輝きを放っていた。
彼に礼を言って、幸せな気分で店を出る。さて、路地を行くと、どのカフェやレストランも外にテーブルを並べている。ちょっと一休み。街並みを眺めながらゆっくりとした時間を過ごす。本当に、時間がゆっくりと流れているんではないかと思える。こういうゆっくりとした時間の中で使うカメラはスローな方がいい。リアリストはスローなカメラだ。
いつも思うのだが、ヨーロッパの古い街並みで使うカメラは、リアリストのような‘50年代のカメラが似合う。過去と現在が溶け込んだような雰囲気だから、この年代のデザインが合うのだろうか。さて、明日はサントリーニ島に渡ろう。(つづく)
投稿者 J_Sekiguchi : 2011年06月09日 10:00
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