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紙のふしぎ(1)
写真用品やカメラの道具やらを自作する上で、便利な素材が紙なのだ。ごくありふれたものなのに、種類によって性質が異なる。紙の作り方はご存知の通り、主に植物に由来する繊維を漉いて形にするのだが、元となる植物の種類に起因する繊維の形や、繊維に加工する工程、漉き方でずいぶんと違ったものになる。
身近でありながら特殊な紙といえば、お札。ミツマタという、繊維の長い植物から作られ、薄い割に破れにくい強さを持っている。札束を胸ポケットに入れていたため、銃で撃たれたのだが命拾いした、という話もあるぐらいだ。
ステレオマウントの素材として使う場合など、適度な厚さと強さが求められる。ただ強さといっても、お札のような破れにくさではなく、たわみにくい腰の強さが必要なのだ。そうすると、厚さがほどほどにある紙に的が絞られてくるのだが、紙の製造工程が変わると強さも変わるので、厚ければどれも強い紙かというとそうとも限らない。
紙の規格を表すものに、坪量とか連量がある。これは一定の大きさの紙の重量を示したもので、数字が大きいほど重い紙ということになり、厚い紙であることがわかる。では、数字が同じなら厚さや強さが同じかというと、厚さは大体同じぐらいになるものの、強さに関しては全く当てはまらない。厚くてもふにゃふにゃなものがあるし、トレーシングペーパーのように繊維を化学処理したものが混ざっていると薄くても腰の強い紙になる。
そういうわけで、紙選びには結構苦労が付きまとう。実際、マウントに最適の紙を手に入れるというのは難しい。まるで、書道家の紙選びのような様相を呈してきたわけだが、マウントに使う紙は和紙と違って、腰の強い洋紙に的が絞られてくる。和紙の工房に頼んだり、自分で漉くといった究極の行動に移るわけにもいかないというわけだ。
▼ 窓枠をうまく切り落とすための小技も提供しておきます。
投稿者 J_Sekiguchi : 2011年05月21日 10:00
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