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日比谷公園探訪
名前の通り、東京の日比谷にある公園。こう書いちゃうと普通の公園みたいな感じになっちゃうのだが、歴史のある公園なのだ。東京、銀座、有楽町といった日本でも地価の高い場所にありながら、けっこう広い面積を持っているというのも驚きだ。その大きさは東京ドームの3.5個分ある。長方形の敷地の中はいくつかに区切られている。
ここに行くと花壇と噴水があって、集まる鳩にえさをやる人、昼休みにお弁当を広げているOL、そんなテレビドラマでよくある風景が見られる。少し歩くと木々が茂り、野良猫達がたくさん群れていたりする。池が3カ所あるが、この中には勝手に放流された生き物がたくさんいるらしい。巨大魚が棲んでいると話題にもなったが、外から見る限り特に変わったものが見えるわけじゃない。その他に、隅のベンチでは疲れきった企業戦士の昼寝を観察することもできる。
そんな風景をリアリストで撮るのもどうかなあ、というわけで、僕はカメラを持ってわざわざ公園へ撮影に出かけるということはなかった。行っても被写体としてはあんまり面白くない。どうもこういう風景は自分にはなじまない。ベンチに座っていても気が休まらないのだ。都会の公園って、なんか自分にはあっていないのかな、なんて感じたりする。
そんな日比谷公園だが、夕刻になると周囲の雰囲気が変わる。別に公園の中が怪しい感じになるという意味じゃないよ。夕刻になってから公園に行く趣味などないのだ。この公園、周りを大きなビルが囲んでいる。たくさんの窓には人々が働く明かりが灯っている。公園の外から眺めると、夕闇に沈む公園とビルの明かりのコントラストが美しい。
こういう風景は好きである。公園でベンチに座っているよりよっぽど心が和む。そんなわけで、この風景をステレオで残すことにした。リアリストを使っての2度撮り。ステレオベースを1mほどにした、若干のハイパーステレオである。
投稿者 sekiguchi : 2010年02月26日 10:00
あっ!ネジがない!
前に「旅カメラ」のタイトルで、海外旅行で故障が起きてもあわてなかったという話を書いた。まあ、あわてなかったんだけどちょっとビビった(笑)。それは、アフリカに皆既日食を見に行ったときだった。メインの皆既日食を見る前に、あちこち観光に寄る。サファリとか、ビクトリアの滝を見たりとか。移動はおもに小さなバスだったのでよく揺れる。この揺れがいけなかったんだろうか。気がつくとフォーカスノブの無限遠位置にあるマイナスネジがなくなっている。
このネジがなくなってしまうと、フォーカスノブが際限なく回ってしまう。普通は1回転しかしないようになっているのにどこまでも回るではないか。いじっているうち、何回転したのかわからなくなってしまった。まずい!
メインの皆既日食を見る前に、フォーカスができなくなってしまった。これは大変だ!・・・まてよ、よく考えたら、フィルムレールとレンジファインダーは常に同期しているから、レンジファインダーを信用すればいいのだ。落ち着いてカメラの構造を思い出せばなんでもないことだった。とりあえず、その辺の木の枝を折ってネジ穴に差し込んでおく。
このままでもいいんだが、さすがに木の枝じゃかっこ悪い。小さなネジがないか探してみると、サングラスの蝶つがいのネジが合うかもしれない。と思って早速取り付けてみると合うではないか。帰国するまでカメラにはこのネジで代用してもらおう。サングラスの蝶つがいには、細い針金を探してきてこれで留めた。はてさて、どっちがかっこ悪いんだか。
ネジは振動に弱い。繰り返し振動を与えるとだんだん緩んでくるのだ。かつてアポロが月に行ったとき、日本製の双眼鏡が載せられた。打ち上げのときの強烈な振動でネジが緩まないよう、技術者は相当な苦心と工夫をしたそうである。機械の主要要素と言われてきたネジだが、現代のカメラではコストを下げるという目的でその数を減らしているという。
投稿者 sekiguchi : 2010年02月23日 15:41
サファリ・サファリ
日本国内でもサファリパークは何箇所かある。自家用車もしくはパークのバスに乗って庭園内をめぐり、間近で動物たちを見るというものである。そして入り口で必ず注意されるのが、決して窓を開けないでくださいというもの。こちらとしても車の中にトラが侵入してきては大いに困る。言われなくても閉めるが、改めて言われると妙に緊張する。
そんなサファリパークもアフリカでは全く別のものになる。場所はボツワナのチョベ国立公園。ジープのような完全に外界とオープンになった車に乗り、運転手兼ガイドの案内で柵も何もないサバンナを疾走するのだ。ガイドは万が一のためにライフル銃を携帯している。無線で仲間からどこにどんな動物がいるか連絡が入ると、そこに向けて車を飛ばすのだ。
我々が出発したのはまだ日が昇る前の早朝。空気が乾燥していて、なおかつやや寒い。まずは湿地帯の近くに行く。車のスピードが落ち、ゆっくりと窺うようにして水辺の近くに行くと、朝焼けに光る水面に黒い影が群れる。カバの群だ。鳥たちがカバの体の上にとまっている。太陽が昇り始め、鳥たちがいっせいに飛び立つと、我々も次のスポットに移動だ。
太陽が上りきっていない、まだ薄暗い藪の中に大きな影が見える。なんと、象の親子だ。子連れの象を刺激しては危険ではないかと緊張が走る。だが、何事もないように草を食み、ゆっくりと奥のほうへ歩いてゆく。
自然の動物が相手なので必ず会えるとは限らない。そこに棲んでいる動物にしか会えない。だが、ホロの無い車から象やライオンと対峙するというのはスリルを超えて感動がある。そして地平線が見渡せる丘に出たとき、アフリカの、この大地の、とてつもない大きさが身体に伝わってくる。サバンナの黄色く色づいた草原を3頭のインパラが走り去る。美しい光景だった。
帰国して日常の生活に戻ったが、いつかまたあの地を訪れたいと願う。人類の故郷の地がDNAに呼びかけているのだ。
藪の中にライオンを発見!
(撮影記(1)のカテゴリー、はじめの方の「続・旅カメラ」上段写真もあわせてご覧下さい)
投稿者 sekiguchi : 2010年02月19日 10:00
ザンベジ川観光
前回紹介したビクトリアフォールズのもととなっているのがザンベジ川だ。雨季と乾季で水量が大きく変わるらしいが、雨季の雨水を大量に抱えた川面は茶色に濁っている。この川には観光船があり、これに乗り込んだ。
両岸には大きな木々が生い茂り、どこまでも同じ景色が広がっている。広大な川面は濁りながらもゆったりと流れている。のんびりとした景色だが、下流ではあの大きな大地の裂け目が口をあけて待ち構えているに違いない。この大河、水面をじっと見つめると、どんな怪魚が潜んでいても不思議ではないという思いが涌いてくる。事前に調べると、この川にはデンキナマズが生息しているらしい。本当かどうか現地のガイドに片言の英語で尋ねると、確かにデンキナマズがいるらしい。
南半球のこの地では太陽は北にあり、その光跡は左下に向かって落ちてゆく。時刻は夕刻を迎えたが、まだ太陽はぎらぎらと輝いている。船が減速すると、そこはカバの群がいる場所だった。あちこちの水面に大きな塊が浮かんだかと思うと、カバの息継ぎで水しぶきが上がり、観客の歓声が湧き上がる。すかさずリアリストのシャッターを切る。
こういった広大な自然を撮影するには広角レンズがちょうどいい。僕は同じモデルのリアリストを2台持ってゆき、片方には広角レンズアタッチメントのレデュフォーカスを装着した。ノーマルの画角と使い分けるのにアタッチメントをいちいち取り外すのも面倒なのでこうしている。2台あるとフィルム交換の頻度も軽減する。だがこのスタイル、結構目立つ。
ぎらぎらとした太陽は、オレンジ色に輝きながら水平線のかなたに消えてゆこうとしている。最後まで強い光を放ちながら沈んでゆく。これがアフリカの太陽なのだ。水面に輝くオレンジ色の光の道が大きく広がってゆく。両岸がシルエットに沈むこの景色を広角で撮影する。空は深みを増した藍色に変り、まもなく南天の星たちが夜空を飾ることだろう。
投稿者 sekiguchi : 2010年02月16日 10:00
ビクトリアという名の大滝
アフリカツアーの見所の一つとして、ザンビア・ジンバブエ国境にあるビクトリアフォールズを訪れた。大きな大きな滝である。世界3大瀑布の一つに数えられるが、この滝のスケールはホントウに大きい。大河が大地の裂け目に落ち込んでいる、そんな言葉のほうがイメージに合致する。季節は乾季に入っていたが、雨季に降った大量の雨水で川の水量が増していた。
遠くからも巨大な水煙が見えるほどで、見学にはビジターセンターで受付をし、ビニール製の簡易レインコートを受け取る。びしょ濡れになるのだろうということが容易に想像できる。草木が生い茂る小道を進むと突然目の前が開け、地鳴りのような水の落ちる音とともに巨大な滝が現れる。水しぶきで大きな虹がかかる。すばらしい景色が広がる。
この滝を発見し、西欧諸国に知らしめたのが19世紀の宣教師であり探検家のデイビィッド・リビングストンだ。彼の像が滝を見下ろすかのように建てられている。後で気がついたのだが、ビューマスターのリールC-3100番は、まだこの辺りがローデシアと呼ばれていた頃のビクトリアフォールズの3D写真で、僕が見たリビングストンの像がすでに収められている。ビューマスターの滝はずいぶんと水量が減ったときのもので、実際に見た滝の迫力とは程遠い。
この滝は幅が1km以上あり、対岸に遊歩道が整備されている。歩きながら滝の全貌を見て回ることができる。先ほどまでレインコートなどいらないではないかと思っていたが、場所によってはしぶきが雨のように降り注いでいる場所がある。空は快晴なのに、水煙で霧の中にいるようだ。カメラが濡れないように気を使っていたが、足元はずぶ濡れになってしまった。
滝幅の端まで歩き、自然が作り出した奇跡の造形を十分堪能した。なぜか気持ちも晴れ晴れ。はて、これはマイナスイオン(?)の効果だろうか。そんなイオンが本当にあるか知らないが、いつの間にか足元が乾燥した空気ですっかり乾いていた。
(「続・旅カメラ」の中段写真もあわせてご覧下さい)
投稿者 sekiguchi : 2010年02月12日 10:00
霜柱
霜柱というのは霜とは発生のメカニズムが違うそうだ。霜は空気中の水蒸気が氷になったものだが、霜柱は土に含まれた水分が凍ってできる。霜が成長して柱状にまでなった、ということではないのだ。
この霜柱、最近は見なくなったと思っていたのだが、温暖化とかそういう問題ではなさそうだ。霜柱ができるような地面が少なくなったということらしい。そう言われれば、普段の生活で土の地面に接する機会がずいぶんと減った。昔は自動車が通らないような小道にはよくて砂利がひいてあったぐらいだが、今はどんな小道にもアスファルトがひいてある。
アスファルトというのは石油から作るんだよなあ、と考えると、人間はずいぶんとたくさんの石油を地面から吸い上げたことになる。砂利とか砂を混ぜてあるとはいえ、結構な量の石油が必要なんじゃないかな。ほんと、すんごい量である。このアスファルト舗装のために霜柱ができる環境が少なくなっている。だから見なくなっているのも当然だ。
霜が降りている寒い朝に、近くの空き地に行ってみると踏み固められた地面には霜柱はない。やわらかい畑の土のようなところじゃないとできないようだ。そんなところはないものかと探してみると、やや粗い土が盛ってあるところにできていた。これが、一見しただけでは霜柱があるように見えない。足で踏んだら崩れたのでわかったのだ。盛り土の表面が氷で持ち上げられているので、外からちょっと見ただけでは普通の土の面しか見えないためだ。
久しぶりに見て、ああ、こんな風だったと思い出した。氷の柱はよく見るときれいだ。早速マクロステレオカメラで撮影する。柱状に成長するメカニズムはどうなっているのか。興味が尽きないが、日が昇って地面が温められ始めるとどんどんと融けてゆく。条件によっていろいろな形態の霜柱が発生すると聞く。次にはどんなものを見ることができるだろうか。
投稿者 sekiguchi : 2010年02月09日 10:00
フィルムが無くなったら
不吉な予言である。弾がない鉄砲、ガス欠の車、電池のないデジタルカメラ。どれも役に立たない。無いなら買ってくればいいが、売ってないなら買いだめしておくとか対策が必要になる。だから自衛隊では有事のために弾薬を備蓄しているし、政府は産業に必要な重要な物資は計画を持って備蓄している。デジカメを使う人だって予備の電池を携帯しているはず。
ではフィルムも備蓄しておけば解決かというと、そうはならない。フィルムには有効期限があって、これを過ぎるとカラーバランスが崩れてゆくのだ。変な色の写真になる。もうひとつ、フィルムには現像のプロセスが不可欠だけど、フィルムの供給が止まれば現像のインフラもすぐに無くなる。今のうちフィルムを買いだめしておいても、いずれ使えなくなるのだ。
そんなことを考えながら、過去に撮った写真を眺めているとスカーラ200で撮ったものを見てひらめいた。モノクロポジのフィルムである。カラーにはない新鮮な感動があった。フィルムを備蓄するなら、モノクロフィルムではどうだろう。しかし、ローライスライドダイレクトの販売がまだされていないので、入手しやすいモノクロネガフィルムに頼ろう。
モノクロネガフィルムは冷凍状態にすれば長期間の保存に耐えると思われる。当然有効期限はあるが、過ぎても感度がやや低下する程度だろう。これを自家現像で反転処理をするのだ。現像のインフラもこれで解決だ。あとは簡便に自家現像で反転することが残された課題だ。なるべく危険な薬品を使わず、高品質のスライドを得る方法を探すのだ。
というわけで、僕はいつの日にかフィルム各社が重大発表を行ったとしてもあわてない。そのときはモノクロフィルムを買い漁り、大量に冷凍備蓄するだろう。まさにフィルムのある限りリアリストを使うというわけだ。そんな日はまだ先でしょう、と思いつつ密かに研究を進めているのだ。・・・カラー写真は?・・・そのときこそデジタルです(笑)
投稿者 sekiguchi : 2010年02月05日 10:00
コマ箱
マウントするために長巻のフィルムをカットすると、全部で58コマになる。これをバラバラにならないよう保管しておくのはけっこう苦労するのだ。いったん全部カットして、左右のペアごとに並べ替える。ここまではまあいいとして、これをどう保管するか。一つにまとめてフィルムケースの中に入れておくのも良い。蓋を閉めておけばバラバラになったり、コマの順番が乱れてペアが崩れることがない。だけど、マウント作業のときは取り出しにくい。
理想を言えば、内部に仕切りがある箱で、1ペアごとに取り出せるものがいい。そんなものがリアリストのマウントキットに、プラスチック製のトレイとして同梱されている。もちろん中古品。ebayなどで入手するしか方法がない。
キット全部はいらない。この箱だけ欲しい。それでebayを監視していたが、結構人気があって高額になりやすい。たかが箱に、と思うほど高くなる場合があるのだ。それに実物を見たことがなく、細部の仕様がわからないので入札しにくい。
それなら、自分で作ればいいではないか。またまた「自分で作るシリーズ」である。たかが箱なら紙で作ればいい。自作マウントの研究のため、買っておいたA4判ケント紙がある。これを使おう。紙のカットは、自作マウントの加工で活躍してくれているクラフトロボを出動させれば簡単なはず。さてと、早速カットデータを作成しよう。
自分が使いやすいよう寸法を決めてデザインするのは楽しいものだ。クラフトロボを使うと、はさみで切るより数段高精度に、しかも早くカットできる。こういうとき、ホントウに頼りになる。カットしたパーツを組み合わせるとピタリと合う。
各部を糊付けし、保管時の埃避けのために蓋も作る。クラフト模型を作るのはこんな感じかな?と思いながら楽しく作業完了。どうせならと3個作製した。その日からマウント作業が実にやりやすくなった。おススメです。
投稿者 sekiguchi : 2010年02月02日 10:00 | コメント (2)