月食の夜
ここ何年も皆既月食を見ていない。初めて月食を見たのは小学生の頃、大晦日の晩だったと思う。深夜に月が全部欠けるというので、寝ているところを夜中に、両親に起こしてもらって見た記憶がある。満月がまるで、10円玉のように赤く暗くなっているのが印象的だった。それ以来、月食というのは大晦日の晩におきるものだと思い込んでいた。
月食というのは、満月のときにある条件が重なると起きる天文現象だ。毎年同じ日に見えるわけではない。地球の影の中に月が入ると、欠け際のエッジがぼんやりしたように欠けてくる。地球の影の中に月が全部入り込むと皆既月食になる、というわけだ。皆既月食になると完全に月が見えなくなるのではなく、赤く暗い姿で天空に浮かんでいる。
地球の影は月よりもだいぶ大きいので、日食と違って広い地域で皆既月食を楽しむことができる。また、完全に欠けている時間も数十分に渡る。月が地球の影の中心に近づくほど、また地球の大気の状態、たとえば大きな火山で噴火があったというような場合、皆既月食中の月の明るさは大きく落ち込む。
ステレオ写真を撮るようになってから初めて見た皆既月蝕は、かなり暗くなったのを覚えている。一番暗い時間帯は、双眼鏡を使わなければ見えないほどだった。このときは皆既月食の時間帯がかなり長いこともあって、ステレオで面白い写真が撮れないかと考えた。ビルの谷間から覗く皆既月食。そんなものをステレオで撮ろうと思った。
場所は幕張新都心。大きなビルが林立しながら道路は広く、夜になると人も少なくなる。車で撮影場所を探しながら移動するにはちょうどよいと考えたのだ。被写体が遠距離になるのでハイパーステレオが最適だろうと考えた。だが、このときはステレオベースを最適にすることに失敗し(長くしすぎ)、うまく撮れなかった。さて、次のチャンスはいつだろう。
△リアリストで撮影したので立体感に乏しい。
投稿者 J_Sekiguchi : 2010年12月30日 10:00
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