STEREO CLUB TOKYO

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貴族の館

 ウィーンの街は美しい。音楽の都とも称されるこの街は、決して華美ではないが、歴史に裏付けされた重厚な雰囲気が感じられる。通りに面する建物はどれも古い。歴史を感じさせるものを街中で発見するたび、シャッターを切る。
 ヨーロッパの格式ある建造物。中でも格別なのがシェーンブルン宮殿だろう。18世紀の建造物、マリー・アントワネットとか、モーツアルトの時代のものといえばわかりやすいだろうか。巨大で豪華な宮殿と、あまりにも広大な庭園。宮殿の正面には大きな花壇がいくつも並び、生垣で囲まれている。宮殿のテラスに立つと、美しいパノラマが広がる。
 これだけの庭園を維持するため、たくさんの庭師が働いているのだという。周囲の生垣はきれいにカットされ、まるで迷路のようだ。訪れた時にも、庭師が手入れをしていた。花壇も季節によっていろいろな花に植え替えられるのだという。
 次に、やはり同時代に造られたベルヴェデーレ宮殿を見学する。ここの庭園もきれいに手入れがされている。かの昔、これらの宮殿で暮らした人々の営みはどのようなものであったか。それはどのような書物であれ、想像の域を越え、おとぎ話のごとく聞こえる。当時のステレオ映像でもあればより現実味を帯びた出来事として体感できるのだろうが。
 さて、ウィーンは中継地点でしかない。のんびりしている時間はない。観光を早々に切り上げ、ここからはバスに乗ってハンガリー・バラトン湖に向けて南下する。ウィーンの町から南南東に向けて約200km。途中国境を越えるが、思ったよりスムーズに検問をパスする。ハンガリーは過去、共産圏であった。国境の検問はもっと厳しいかと思っていたのだ。
 国境を越え、バスはひたすらハンガリーの片田舎を走る。単調だが、見慣れない風景が続く。それにしてもこのバス、飛ばすじゃないか。大きな図体で次々に遅い車を追い抜いてゆく。日本のバスとは大違い。早く着くかな? (つづく)

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投稿者 J_Sekiguchi : 2010年12月09日 10:00


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