旅の供
バラトン湖から北東に130km。バスに乗り、ドナウの真珠と謳われるブダペストに到着した。街の真ん中をドナウ川がゆったりと流れ、街の東西をいくつかの橋が結ぶ。橋はどれも古風だが、中でも鎖橋と呼ばれる吊橋は見事だ。石の主塔と橋台に見事な彫刻がある。和名の「鎖」の元となった「CHAIN」は、本来の意味は「首飾り」だという。
今日はこの鎖橋の近くのホテルに泊まり、聖イシュトバーン大聖堂、三位一体広場、漁夫の砦などを見てまわるのだ。それにしても、ウィーンもブダペストも、街に特徴がある。景観とか、建物の様式いったところだけじゃなく、街の雰囲気に独特のものがあると言ったほうが良いだろうか。日本の都市というのはだいたいどこへ行っても同じ様、というのと何か根本的なところで理由は同じじゃないかと思う。つまり、街の雰囲気というのは住む人によって作られる、ということか。
さて、三位一体広場のレストランで昼食をとったが、使われている食器がヘレンドだった。装飾を控えた普段使い風の皿だったが、日本に輸入されているもののほとんどはこのクラスだろう。やはり、道具というのは使って良さを感じたい。価格がどうとかで評価するのではなく、使ってどう感じるか。これが道具の評価になる。そう、カメラも同じ。
というわけで大いに満足した昼食の後、漁夫の砦の周りを散歩する。ここは小高い丘になっていて、ドナウを眼下にすばらしい大パノラマを見ることができる。リアリストを持って散歩。結構楽しい。ここでも何人かに「それ、ステレオカメラだろう?」と声をかけられた。「ええ、そうですよ。とても楽しいですよ」と応える。果たして、伝わっているだろうか。
やがて日が暮れ、ドナウに街の明かりが映える。鎖橋に明かりが灯り、ドナウにかかる首飾りのように見える。静かに夜が更けてゆく。リアリストという旅の供がいてくれたおかげで、大切なものに出会えた。さて、またどこかの街で。(終)
△遠景だと、立体感が出ません(笑)
投稿者 J_Sekiguchi : 2010年12月27日 10:00
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