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神楽奉納
広島に来て気がついたのが、この土地の人々は氏神様を大事にしているのだなぁ、ということ。祭りの時期が近づくと、あちこちに「捧寄進」と書かれたのぼりが立つ。各家々には御幣と呼ばれる紙垂を沢山付けた縄が張られる。いよいよ秋の大祭が始まるのだなあという雰囲気が町中に広がるのだ。大祭には縁日の屋台が並び、神輿が出て町内を練り歩き、最後には神社への奉納の儀式が行われる。この儀式、神社ごとに異なるようで、それぞれを見て回るのも面白い。
神輿が練り歩くといっても、有名な祭りに見られる大勢の男衆が威勢よく担ぐ神輿ではなく、小さな神輿か山車を子供たちが引いて家々を回るという感じ。笛や太鼓、鬼の面を被った男衆が一緒に回ることもある。子供たちは鬼を怖がったりからかったり。そんな様子を眺めるのも楽しい。小さくとも、地域に根付いた祭りならではの味わいがある。
さて、大祭前日の前夜祭が圧巻なので紹介しよう。神社の境内で行われる奉納の中でも、神楽の奉納がすばらしい。この神楽、一般的な神楽のイメージとは大きく違う。中国地方には伝統的な石見神楽が伝わっており、今でも沢山の神楽団がある。この神楽団を呼んで奉納をするわけだが、娯楽性に富んだ演目がいくつも演じられ集まった人々を楽しませる。
子供たちに大人気なのが「恵比寿舞」だ。中盤で餅やお菓子をばら撒くので皆興奮状態になる。つづく「塵輪(じんりん)」では豪華な衣装に身を包み、大きな鬼の面を被った演者が登場する。あまりの迫力に、こんどは泣き出す子供も出る。最後には「八岐大蛇(やまたのおろち)」が披露され、大蛇がいくつも登場し舞台を埋め尽くす。これには本当に圧倒される。
この神楽、日が暮れてから始まり、夜遅くまで続いた。テンポのよい神楽のお囃子がいつまでも山にこだましていた。都市化が進んで失われてゆく文化も多い。生活が便利になろうと、こういう文化はいつまでも残って欲しいものだ。
投稿者 sekiguchi : 2010年08月13日 10:00
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