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水滴
梅雨の季節がやってきた。どこへ行くにも足元が濡れるし、気温が下がる日もある。体調を崩しやすく憂鬱な気分になる。カメラを持って出かけるといっても、お天気が悪いのではいい被写体にも出会えない。余計に憂鬱な気分になる。
マクロカメラなら何か面白いものが撮れるかもしれないと思い、傘をさして外に出た。雨の中でもよく観察すると面白いものがありそうだ。あちこち見て回ると、たくさんの蕾をつけたナンテンの木が、水滴をたくさん含んでいる。慶事で出される赤飯に添えられる小さな枝葉、これがナンテンだ。難を転ずるという意味から来ている名前らしい。
この日は細かい雨がずっと朝から降っている状態で、そのためか水滴がナンテンの蕾とか枝葉にたくさんぶら下がっている。これをマクロで撮り、マウントしてみた。マウント前はなんだかごちゃごちゃした構図に見えるが、立体視してみると結構面白い。水滴の粒に周囲の景色が小さく写りこんでいて、これが同じようにたくさん並んでいるのだ。よく見ると、空中に球状のものが浮かんでいる。はじめはゴミだろうと思ったのだが、左右の画面に同じように写っている。
これはナンテンにぶら下がっていた水滴が落下したものだった。落ちてゆく水玉を偶然捕らえたというわけだ。小さいのでフィルムをスキャンした画像では存在自体がわかりにくいが、完全な球の形をした水玉だ。
僕たちはイメージで、落下中の水玉は頭がとんがったいわゆる「水滴型」だと思い込んでいるが、自由落下中の水滴自身は無重力状態にあるから完全な球になる。はじめにゴミだと思ったのも、こんな思い込みからきている。
空から落ちてくる雨粒はどんな形をしているか。こんな疑問が話題になったりする。空気抵抗のために底が平らになった形じゃないか、とかいろいろ推測されたり、理科実験のネタになったりする。雨粒をステレオ視できたら面白いだろうに。
投稿者 sekiguchi : 2010年06月15日 10:00
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