おまつり
僕はお祭りが大好きだ。神輿を担ぐのが好きとかいう分野じゃなくて、夜店を見て歩くのが好きなのだ。白熱電球で照らされた駄菓子やおもちゃが、いつもとは違ってキラキラと光っている。今ではずいぶんと減ってしまった駄菓子屋も同じように好きなんだが、楽しみの傾向としては同じなのかもしれない。
ただ、僕が子供の頃に比べると夜店のスタイルもずいぶんと変わってしまった。最近の夜店は食べ物を扱う店が圧倒的に多い。金魚すくいは定番として生き残っているものの、射的や輪投げなんていうのもあまり見かけなくなった。夏祭りなら鈴虫や蛍を売る店、吊り忍と風鈴なんていうのがあったのに今では見ない。七味唐辛子の口上売りというのもない。子供の頃は唐辛子なんて無縁だったが、大人になったら好きな風味にブレンドしてもらおうという夢も遠いものになった。
それでも夜店を見て歩くのは楽しい。夜店の定番、綿菓子屋やお面屋も健在だ。大人になってビールを片手に散策するというのもいものだ。浴衣に下駄履きでリアリストを首から下げる。一眼レフじゃなくてレンジファインダーというところがポイント。クラシックであるというところもポイント。このときだけは撮影はおまけ。気が向いたときだけ、ちょっとだけ撮る。ビールを右手、イカ焼きを左手に持っていたのではカメラの操作もうまく出来るわけがない、というわけだ。
さて、子供と一緒に祭りに出かけるようになって気がついた。そうか、昔の夜店は子供達の視点で楽しめるようになっていたのだ。子供達が欲しがるようなものがこれでもかというぐらいに並べてあった。こづかいを握りしめながら次は何を買おうかと迷ったものだ。夜店のスタイルが変わってしまったのは、子供たちの興味の対象が大きく変わってしまったことも理由にあるのだろう。ゲームばっかりやっていないで、こういう楽しみもあるよ。おじさんになった僕は、今そう思う。
投稿者 sekiguchi : 2010年06月25日 10:00
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