STEREO CLUB TOKYO

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目の錯覚

 リアリスト・レッドボタンビュアーを使って、池に浮かぶ睡蓮の花のスライドを見ていて気がついた。平面のはずの池の水面が湾曲している。言葉で表現するのが難しいんだけど、画面の真ん中が膨らんで見える。ちょうど、大きなボールの表面のように池が湾曲して見える。睡蓮の花はしっかり立体で見えている。マウントの仕方が悪かったのだろうか。
 こんな現象は聞いたことがないのであわてた。自分の視力もとうとう限界に来たかと落胆もした。でも待てよ、とビュアーの目幅調整をしてみる。フォーカスがずれるので合わせ直すと、立体感はそのままで今度は池がへこんで見えるではないか。ということは、ちょうど良い目幅ポイントがあるはずだ。というわけで目幅を合わせると自然な池の水面が現れた。
 今まで、ビュアーの目幅調整なんておまけ程度と考えていた。実際、目幅の調整をしたところで立体感に差はない。これは、画面の湾曲を調整するために必要なものだったのだ。こんな現象が起きる理由についてはわからないが、たぶん左右の画面の中心とレンズの光軸、目の角度のズレによって錯覚が起きるのだろう。この現象について気がついている人は少ない。ステレオで撮影したスライドをただ鑑賞しても、被写体によっては感じにくいからだろう。
 試しに、いくつかのスライドを用意して画面の湾曲を意識して鑑賞すると、画面の湾曲が気になってくる。目幅を調整して鑑賞しないと気分がしっくりこない。意識しているか否かで感じる似たような現象に「ステレオは書き割りのように見える」というのがある。僕もステレオを始めたころは被写体によってカキワリのように見えることがあった。でも、慣れてくるとカキワリに見えなくなってしまった。頭脳というのはマコトに不思議なもので、順応というすばらしいものを持っている。このために気がつかないでいることがあったり、錯覚を起こしていることもある。という話。

睡蓮.jpg

投稿者 sekiguchi : 2010年06月22日 10:00


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