STEREO CLUB TOKYO

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ミドリの恐怖

 春先の森や雑木林に行くと、木々の新芽や、つつじのつぼみが膨らみだしている。落ち葉で覆われた地面からも、ところどころ草の芽が出始めている。真夏になると藪に覆われてしまうところも、春先ならいやな虫に会わずに奥のほうまで入ってゆける。カメラを持って、何か面白い題材はないかと散策をしたときのことである。
 この日にカメラに装てんしたフィルムは、当時新しく期間限定で発売されたフジのフォルティア。従来のフィルムより鮮やかで、原色が際立って表現されると聞き、興味津々で初めて使ったのだ。こういうのが出てくるというのは本当に嬉しい。フィルムの種類が減ってゆく中、新しいフィルムを出してくれることに感謝している。
 さて、近所の山に行ってみる。どうということのない山であるが、とりあえず遊歩道がある。あちこちにもう花が咲いている。地面にはスミレが群生していて、小さな紫の花がたくさん咲いている。こういうのはもうだいぶ撮ったので、もうちょっと変わったものがないものか。見たこともないような、不思議な生物に出会えないものかと森の奥のほうに入ってみる。
 しばらく歩くと、道が手入れされていない、苔むした感じになってきた。倒木が道をふさいでそのままのところもある。なかなかイイ感じにワイルドになってきた。もっと進むと、どうやって進めばいいんだ?というような道なき道になってしまい、こんなところで遭難?という思いがよぎる。ついには湧き水が沢になった場所に出くわし、進めなくなった。
 足元を見ると、シダの仲間が生い茂っている。新芽がゼンマイのように巻いている。この形、よく見るととても不思議だ。突然開いて、襲われるのではないかというような不気味な形でもある。これをステレオで撮る。
 現像すると、フォルティアは緑の発色が濃く、独特だった。意図した以上に不思議な生物感が溢れる仕上がりになった。

シダの芽1.jpg

シダの芽2.jpg

投稿者 sekiguchi : 2010年04月13日 10:00


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