STEREO CLUB TOKYO

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フォーカスの調整再び・前編

 久しぶりにリアリストのお話。手持ちのリアリストの中で、特別にシャッターをチューンした1台があるけど、そのときに調整したつもりのフォーカス位置が合っていないことに気がついた。これはもう一度調整しなければならない。
 ところで、リアリストのフィルムレール、つまりフィルムが乗っかって擦動するところは黒い塗装がしてある。前から疑問に思っていたのだけど、寸法精度とか、面の平行度が厳しく要求される部分には塗装はしないものである。近代的なカメラになるとこの部分は精巧な工作機械で切削されていて、金属の素地が出ているのだ。もっとも、リアリストの場合でもごく後期のもの、CUSTOMなどは塗装ではなく切削した金属面になっているものがある。
 せっかくフォーカスの再調整をするなら徹底してやってみることにした。フィルムレールを外し、フィルムとのコンタクト面を水平に研磨するのだ。600番のサンドペーパーから始まって、4000番まで使って仕上げる。平らな面にペーパーを置いて、力が偏らないように磨りあげるのが一番大事なところ。匠の気持ちで仕上げてゆく。削って気がついたのが、オリジナルの塗装の状態のままでも平面性は悪くない。しかし、ここはスペシャルに仕上げよう。
 仕上げたフィルムレールを再び組み入れる。そこにフォーカス確認用のスクリーンをセットする。適当なすりガラスが無かったから、透明なガラスをガラス切りでカットして、この上に乳白色の薄いフィルムを貼り付けた。精度よく調整するには、このフィルムはできるだけ薄いほうがいい。あまり厚いものだとどこにピントがあっているのかわからなくなる。フィルムレールには調整用のネジ穴があり、ガラスはこの穴を避けるように窪ませなくてはいけない。荒い砥石でゴリゴリやって作ったのだけど、ここまでくるのに一苦労。次は精神力の要る調整作業だ。さて、いっぷく一休み。

ピント調整A.JPG

投稿者 sekiguchi : 2010年03月12日 10:00


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