« フォーカスの調整再び・後編 | メイン | ビュアーへパワーを投入せよ »
火星大接近
今から約6年半前の2003年8月に火星が地球に大接近した。地球も火星も太陽の周りを楕円軌道で回っているから、あるところで大きく近づくことがあるのだ。このときはマスコミも大きく報道し、各地の公開天文台は見学客でにぎわった。僕も大きな望遠鏡のある天文台に出かけ、約5600万km彼方の火星の姿を見せてもらった。地球に大接近した火星はマイナス2等級ぐらい。望遠鏡で拡大すると赤く輝く円盤に、微かな模様が浮かび上がる。
にわかに天文熱が出始め、情報を収集すると9月9日には月に近づいて見えるという。これは距離が近づくという意味ではなく、見かけ上の位置が近づくということ。角度で6分まで近づいて見えるというではないか。明るく輝く火星は、満月に近い月に近づいても霞むことなく見えるし、望遠レンズを使って両方を同一画面に写すこともできるだろう。
ところで、星は地球の自転によって東から西に移動して見える。月も同じように動くが、月は地球の周りを回っているので、この分だけ移動する速さが違う。厳密に言えば、火星も太陽の周りを回っているから、恒星とはわずかに移動する早さが違うのだ。この辺の詳しい話はやめておく。火星と月の間隔が時間とともに変わるということだ。というわけで、一眼レフに350mmの望遠レンズを付け、三脚に固定してわずかな露出で撮影した。時間を置いてもう一回撮影。これをステレオペアに見立ててマウントすると、間隔の変化が視差と同じように働く。月の奥に火星が輝く立体写真が完成した。
わざわざ立体にしなくてもよいではないか、という声も聞こえてきそうであるが、ちょっとやってみたかったのである。空を見上げたときには月に火星が接近するように見えるが、これは見かけ上のことであって、実は相当な距離があるのだ、という写真にしたかったのだ・・・大きな望遠鏡で撮影した写真でやったら、もっと面白かったかもしれない。
投稿者 sekiguchi : 2010年03月19日 10:00
URL: http://here.there.jp/mt-tb_there.cgi/2975