逆ステレオ
マウントのとき、左右の画面を間違えてセットすると凹凸が逆になった妙なステレオ写真ができてしまう。左右を間違えなくても、フィルムの裏と表を間違えても同じことが起きる。完全に貼り付けてから気がつくと、マウントをはがしてやり直さなければならないから大変だ。大事なフィルムに傷がついてしまうこともある。
左右を間違えないようにという意味で、ステレオカメラの画面には切り欠きが付いていることがある。リアリストの場合だと、右側画面の下(フィルムだと上下が逆になるから上)に台形のくぼみが付いている。でも、実際に撮影したフィルムではこのマークは見えにくい。僕はマウント作業のときにこのマークをあてにせず、フィルムのコマナンバーの大小で左右の確認をしている。ただ、作業の時には画像が逆になる位置でセット作業をするので、コマナンバーは逆文字で見なければならない。うっかりするとフィルムの裏表を間違えてセットしてしまうことがたまにある。
話は変わり、山の中で咲いている桜の撮影に行ったことがある。公園に咲いている桜とは違い、人の手が入っていないから樹高が高い。低い位置に枝が伸びていないので、桜の花は遥か頭上にある。おまけに足元は膝ぐらいまで伸びた雑草でいっぱい。見上げた姿勢で撮影するしかなかった。これをマウントして鑑賞すると、やっぱり花が遠くて面白みが無い。
何枚かマウントしているときに間違って逆ステレオにしてしまった。ところが、桜の花が近くに飛び出して見える。ちょっと変わった感じの写真になったが、密集した木々の葉枝を背景に桜の花が手前に見える。普通にマウントすると地味に背景に埋もれてしまう花が、よりきれいに見えるではないか。これは面白い。マウントをやり直すことなくそのまま仕上げた。逆ステレオの使い方として新しい発見をした気分だ。積極的に使えるワザでもないが、こんな効果もあるんだというお話でした。
これは平行法でご覧下さい。
投稿者 sekiguchi : 2010年03月30日 10:00
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