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一本桜

 春といえば桜。なじみの深いのはソメイヨシノ。いっせいに開花するので桜前線が北上して・・・というようなニュースを毎年聞かされる。ソメイヨシノというのは栽培種であり、人間が手を加えて品種改良し、全国に広めていったものである。では、品種改良したのならそのモトとなった桜は?といえは、山に咲く山桜である。山桜と一口に言っても亜種が多く、その木特有の花を咲かせたりする。ソメイヨシノより早く咲くものもあれば、だいぶ後になって咲くものもある。
 山里には古い山桜が大事に残されていて、巨樹となり、その地域の一本桜として有名になっている場合がある。天然記念物に指定されているものもある。広島県の比婆山脈にある山里に、こうした一本桜で有名なところが3箇所ある。それぞれ車で20分圏内に隣接しているから、開花の時期がうまく合えば1日で3箇所を巡ることが出来る。最近はこうした一本桜巡りがブームなのか、見に行く人も多いので桜の周りに囲いがしてある。根を踏みつけると木が傷むからである。どれも樹齢が数百年と推定される貴重なものだから、毎年花を咲かせてくれるよう配慮してあげねばならぬ。
 3本のどの桜も見事だが、千鳥別尺の山桜と呼ばれるものは視界が開けている中にドンと立っている。のんびりと花見をするのにちょうどいい。樹高が高く、周りが刈り取ったあとの田になっているので、囲いの外で弁当を広げても木の全体が見渡せる。ちょうど近くの田では田植えの前の代掻き作業をしていて、水を張った水田に大きく桜が写っている。夕刻までのんびりしていると、対面の山から満月が昇ってきた。水田に満月が映える。こういった幻想的な風景は写真に残すのがとても難しい。イメージ通りにはなかなか撮れないものだ。
 こういった風景はいつまでも失われること無く残って欲しいと思う。

一本桜.jpg ほこら.jpg
                                         木の根本に小さなほこらがある

投稿者 sekiguchi : 2010年03月26日 10:00


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