富士山上空1万メートル
羽田から西に向かう飛行機は富士山の上空を通過する。夜の便でなければ、富士山が見える側の窓側座席があるときは迷わず確保する。高度1万メートルから眺める富士山はとても美しいのだ。全体をほぼ真上から見ることができるし、富士山は大きいので高高度からも肉眼で立体的に見ることができる。まるで精巧にできたミニチュアのように見えるところも面白い。離陸時に天気が良くなくてもがっかりすることはない。飛行機は雲の上に出るし、富士山の頂上が雲から飛び出していることが多い。こういう時は富士山によって気流が複雑に変化し、雲がたなびく様子を見ることもできる。
これをステレオ撮影してみることにした。電子機器ではないリアリストは、離着陸時を含めて飛行機の運航に一切影響を与えない。安心して使ってよい。気をつけるべきは、飛行機の窓に反射する自分の姿が写ってしまう。ちょっとカッコわるいけど、毛布を借りてこれを被って撮影するといい。しかし、肉眼で立体的に見えるとはいえステレオ写真ならもう一つ迫力が欲しい。飛行機の移動速度を利用したハイパーステレオに挑戦だ。これは時間を置いてなるべく同じ構図で2コマを撮るという方法だ。実際にやってみると、飛行機はマッハ0.8程度で飛んでいる。あっという間に構図が変わってしまう。すばやく巻き上げてシャッターをチャージし、2コマ目を撮影する。がんばっても4回撮影するぐらいが限界だった。
さて、現像したフィルムから最適な視差が得られているペアを選択する。構図はなるべく合うように撮ったものの、正確には合わない。ハーフフレーム用の窓の小さなマウント台紙を使ってステレオウインドウがうまくできるように調整する。これがとても難しかった。視差が大きすぎるのである。もっとすばやくシャツターを切らねばならなかったか。。。でもまあ、何とかぎりぎり観賞できそうなものになった。改めて思うのは、富士山は大きい。そしてとても山登りはできそうにない。
投稿者 sekiguchi : 2010年01月04日 10:00
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