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くだもの之樹
果物がなる木というのは好きである。色づいた実が枝にぶら下がっている様子を見るのは楽しい。特に好きなのはリンゴの木。果樹園では、収穫の手間を少なくするためか木の高さを低くしているところもある。今でも忘れられないのが、北海道の岩見沢辺りだったか、曲がりくねった道の両脇にリンゴ畑が広がる光景に出会ったときのこと。
大して交通量もないところで、桂沢湖経由で富良野に向かう近道として通ったときだ。周りの景色が一瞬変わった。果樹園なのだろうが、柵がない。小さくまとめられた木が丘の斜面にまばらにあり、どれも大きな赤いリンゴがなっている。誰もいない、自分の車しかいない状況に、おとぎの国に迷い込んだ気分だ。ほんとうに、絵本に出てくるような風景だった。残念ながら、このときはステレオ写真をやっていなかった。普通の写真も撮ったであろうが、なぜか手元に残っていない。
さて、南北に伸びる日本は、その土地ごとに果樹園も変わってくる。そんな風景を見て回るのも楽しいものだ。瀬戸内海近辺はなんと言ってもミカンの産地だ。斜面一面がオレンジ色の小玉で埋め尽くされる様子は美しい。ちょうどよい季節に訪れると、ここもまたおとぎの国のようだった。果樹園によっては観光農園としてミカン狩りをさせてくれるところもある。小高い丘に登り、遠くに瀬戸内の海を望みながらミカンを摘むのも楽しいものである。
なるべく小さいものの方が味が良いといわれ、小ぶりでよく色づいているものを選んで摘む。その場で食べても良いので、木の根元にはミカンの皮がいっぱいに散らばっている。こんなふうに簡単に手でむけるオレンジというのは、日本のミカンにしかない特長らしい。味わいながら収穫用の袋に入れるが、あっという間にいっぱいになった。
だんだんと日が暮れて、赤い夕日に照らされたミカンがいっそうオレンジ色に、キラキラと輝いていた。
投稿者 sekiguchi : 2010年01月26日 10:00
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