氷でできた宝石
寒い寒い冬がやってきた。大地が硬く凍っているかのように冷たい。秋にあれほどうるさく鳴いていた虫たちも姿を消し、卵の姿で冷たい大地の中でじっと冬が過ぎ去るのを待っている。空気は乾燥し、冷たい風がさびしく吹いている。こんな季節はマクロカメラを持ってフィールドに出ても被写体となる題材が乏しく、さびしい気分になる。
だが、こういう季節だからこそ出会えるものもある。底冷えのするような朝は、放射冷却現象のため地面一面に霜が降りていることがある。この霜のできる過程というのは結構不思議な現象だ。乾燥した空気の中にも、ある程度の水が水蒸気、つまりは水が気体の形で空気に含まれている。地面が空気よりも先に氷点下に下がり、その時の空気の温度と含まれる水分量がある一定の条件を満たすと、水分が昇華して地面に氷として現れる。気体から直接固体になるという不思議な現象なのだ。
ここで霜が付いた様子をルーペで拡大してみよう。小さな氷がキラキラと輝いているのが見える。小さな粒は、空気中の水分が結晶の形で固まったものなのだ。一度液体になって水から固まったものではないから、粒の一つ一つが単独の結晶なのだ。雪の結晶にも似ている。天然の水晶のように表面が角ばっているものもある。だからキラキラと光っている。
この霜は、朝日が昇り、日光が当たるととたんに融けて消えてしまう。太陽がまだ低い位置にあるわずかな時間帯が撮影のチャンスだ。フィールドに出ると、葉牡丹にたくさんの氷の結晶ができている。拡大するととてもきれいだ。自分の息で氷が融けないように注意しながら撮影する。フィルムをマウントして、ビュアーで見ると氷の粒が光って見える。
フィルムをスキャナーで取り込んだが、輝きがうまく再現できない。マクロモードのあるカメラなら、2度撮りでステレオになるから皆さんもチャレンジしてみるといい。くれぐれも温かい服装で風邪などひかないようご注意を。
モニターだとキラキラが見え・・・ないですネ。すんません。
投稿者 sekiguchi : 2010年01月15日 10:00
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