フィルムの調達
今から20年ほど前、僕がまだステレオカメラを持っていなかった頃、ほんの少しだけ北海道の某地方都市に住んでいたことがある。当時は6×7判のプラウベルマキナに凝っていて、リバーサルフィルムで大自然を撮影することが楽しみだった。ブローニーのリバーサルなんて札幌に行かなければ買えないので、近所の写真屋さんにあらかじめ頼んでおいて、やっと一週間後に届くという状況だった。現像だって札幌送りだから一週間以上かかる。これが当たり前だった。
あるとき、富良野や美瑛の大自然を撮りに行こうと、機材を車に積んで一人旅に出かけた。宿は行き当たりばったりで決める気ままな旅である。雄大な大自然と美しい風景に、ついシャッターの回数が多くなる。120のブローニーしか使えないマキナ67は、1ロール10カットしか撮影できない。あっという間に手持ちのフィルムを使い切った。しまった!もっと買っておくんだった。とりあえず写真屋に行けばネガフィルムぐらいはあるかもしれない。そう思って美瑛の国道沿いの小さな写真店に飛び込んだ。小さな店だったが、ブローニーを置いてあるか?と聞くとあると言う。リバーサルは?と聞くと、何本ですかとたずねられた。驚いた。多くの写真家が撮影に来るので、主要なフィルムは豊富に置いてあるのだ。
同じようなことが昔、ハンガリーで。うっかり予備のフィルムをホテルに置いたままステレオ撮影の散歩に出かけた。戻るのも面倒なので、たまたま通りにあった小さな写真店に飛び込んだ。英語が通じない。リバーサル、スライドと言っても通じない。ポジフィルムと言ってようやく通じ、今は無きコニカのフィルムが出てきた。やっぱり外国人はポジをよく使うのだろうか、と思った。需要のあるところにはちゃんと置いてあるものなのだ。それにしても、このときのコニカのフィルムは地味な発色で粒子が粗かったなぁ。手に入らなくなっちゃうと、無性に懐かしくてまた使いたくなってしまうものだ。
投稿者 sekiguchi : 2009年10月03日 21:40
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