STEREO CLUB TOKYO

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下北半島にて

 本州の最北、マサカリ形をした半島が青森県の下北半島である。ここで有名なのが霊山、恐山である。ここにはいろいろと不思議な地形があることが紹介されていて、一度は行ってみたいと思っていた。ここは地質学的にも貴重なものがある火山地帯なのである。リアリストをお供に、一人でレンタカーを借りて訪れた。
 山道を登ってゆくと宇曽利湖にたどり着き視界が開ける。この湖は火山性の成分のため酸性度の高い水質になっていて、湖面の色が普通の湖とは違う。コバルトブルーに輝いて美しいが、普通の生物が棲めない水質なのだ。いわゆる恐山には菩提寺から入るのだが、訪れる人もまばらで、一歩踏み入れると不思議な雰囲気に包まれている。奥に進むと硫化水素臭がたちこめ、火山特有の地形が広がる。あちこちの地面から噴気が出ている様から、昔の人は死後の世界を想像したのだろう。
 菩提寺の境内には入浴のできる温泉があり、この中の古滝の湯に入ってみた。木造の小さな温泉小屋の雰囲気がいい。誰もいないのでこの雰囲気を撮影させていただき、ゆっくりと湯に浸かった。火山性の温泉特有の硫化水素含有泉、強い酸性の湯が心地よい。のんびりしていると、引き戸を開ける音がする。地元の人が入りに来たのだ。さらにのんびり、大地のパワーを身に浴びているうちに、その地元の人は出て行ってしまった。僕はどちらかというと長風呂派なのである。しばらくするとまた入り口の引き戸が開く音がする。また地元の人か?と思ったが誰も入ってこない。脱衣所を覗いても誰もいない。はて、死者の霊か?と思いつつ引き戸をよく調べると、少し傾いている。ちょっとしたことで開き易くなっていたのだ。
・・・はて、引き戸を開いた「ちょっとしたこと」とは何だろう。やはり?まあ、そんなこともあるかもしれない。フィルムを現像して、何か写っているだろうかと期待したんだが。見える人には見えるのだろうか。

古滝の湯.jpg 恐山_古滝の湯.jpg

投稿者 sekiguchi : 2009年09月18日 00:27


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