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続・旅カメラ
一度ステレオを旅行に持ってゆくと普通の2Dにはなかなか戻れない。普通のプリント写真が物足りないものになってしまう。プリントが必要な場合だってあるが、ステレオの片方でプリントを作ることだってできる。そんなわけで、望遠とか超広角で撮影する目的がない限り2Dのカメラが旅についてくることがなくなってしまった。とはいえ、古いカメラゆえ旅先で調子が悪くなると、とってもとっても困る。銀座の中古カメラ店でリアリストを買うときも、「旅行で使うにはちょっと心配だよ」と不吉な予言を言われた。クラシックだから壊れやすいんじゃないかと、やっぱり不安になる。
でも、壊れて困るのはクラシックでもデジカメでも同じだ。どのぐらいの頻度で故障が発生するのかという問題は、実は機械モノの世界では難しいテーマである。メンテナンスがきちんとされた状態でどちらの故障発生率が低いか?というのは一つの学問になる。実際にそういうことを専門にしている博士もいらっしゃる。
リアリストの場合は機械がそれほど複雑ではないから、故障がおきても原因の見当をつけやすい。そんなわけで僕は、旅行の時には精密ドライバーのセットも持って行く。飛行機の機内持込はできないので、トランクの荷物の中に入れておく。メンテナンスをマスターしておくと、ドライバーを持っているだけで心強い。これさえあればたいていのトラブルには対処できるからだ。実際に軽いトラブルに遭遇したときも慌てることはなかった。これが複雑なカメラで、しかも電気カラクリだと故障した場合の落胆は大きいだろうな。
リアリストはのんびり撮るのに向いているが、アフリカのサファリで動物を追いながらバリバリ撮る時にはちょっと工夫した。巻き上げとシャッターの動作は訓練で素早く行うことはできるけど、フィルム交換に時間がかかる。僕はこのような時、同じモデルを2台持ってゆくことにしている。撮影しながらもう1台のフィルム交換をすることで連続撮影ができる。前に紹介した巻き戻しのアタッチメントは必需品だ。大変なようだけど、この方法でシャッターチャンスを逃がしたことはない。
▼ビュアーで見る迫力が再現できませんけど。平行法でどうぞ。
投稿者 sekiguchi : 2008年06月07日 13:29
旅カメラ
知らない土地を撮り歩く、たとえば海外旅行なんかに持ってゆくカメラは何がいいだろう。荷物をなるべく減らし、フットワークを軽くすると見知らぬ街のいろいろなところが見えてくる。そんな発見を撮りためるためにカメラはなるべく携帯に便利な方がいい。最近は薄型のデジカメが人気だろう。電池とメモリーさえ確保しておけば良いし、なんといっても空港のX線検査を心配しなくていいのはフィルムには望めない大きなメリットだ。しかしステレオで撮りたいとなると難しい。ステレオ専用のデジカメはまだ世に出現していない。2台をブラケットでつないだ装置を使うにしても携帯性が良いとは言い難い。
僕は、東欧旅行のお供にリアリストを選んだことがステレオの始まりだった。重量は少々あるが、レンズカバーを閉じればバッグの中に放り込んでおけるし、各部のデザインがフラットだから意外にも収まりがいい。カメラ操作はスローペースになるけど、散策しながら撮影するにはこれがちょうどいい。街の人々に声をかけて撮らせてもらったりもした。なぜか断られることもなく、みな良い表情だった。たぶん二つの目玉が愛らしい(?)カメラだからじゃないか、と勝手に思っている。クラシックカメラだから撮られる緊張がないというのもあるかな。朝から歩いて昼頃までに1本撮り終えると、古い街並みに古いカメラが馴染んでいる気がした。
旅行から帰ると膨大なマウント作業が待っていたのだけれど、マウントしながら街の空気のにおいが甦ってきた。作業もゆっくりゆっくり、観賞を兼ねてやるとこれもなかなか楽しい。旅行にカメラはつきものだが、うっかりすると撮るのに夢中で何も見ていなかったということになりかねない。そういう理由で、旅行でカメラを持たない人もいるらしい。でもリアリストの面白いところは、撮っている時の記憶を鮮明に甦らせてくれる。自分の見たままの景色が記録されるのだからね。というわけで、リアリストは旅行にお勧めの1台です。
▼ビュアーで見る迫力が再現できませんけど。平行法でどうぞ。
投稿者 sekiguchi : 2008年06月01日 12:53