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ビューマスターのビュアー
パーソナルの話が出たのでその続き。前に紹介した通り、ビュアーとリール・ソフトは現在でもおもちゃとして海外で売られていて、子供向けのリールがヨーロッパの空港のおみやげ物屋で売ってたりする。そのためか、今のビュアーはとてもカラフルなプラスチックでできている。バックライトが無く、外からの明かりを取り入れて鑑賞するものしかないけど、これはこれで手軽に扱えてイイ。覗きながらレバーを操作すると次々に風景が変わる。おもしろい。フォーマットが変わっていないから、ビュアーもリールも昔のものと共通で使うことができる。ビューマスターが登場したのは1950年より前だと思うから、かれこれ60年以上フォーマットが変わっていないことになる。すごいことです。
昔に作られたビュアーも色々なタイプがあるが、ベークライトでできているのでブラックボディのものが多い。電池と電球を使ったバックライト付のものとか、焦点調節のできるものもある。僕はタイプDと呼ばれるバックライト付のものを使っているけど、例によって電球を明るいものに交換し、色温度を上げるフィルターを組み込んでいる。
パーソナルで撮影したフィルムをブランクリールと呼ばれるマウントにセットして、これらのビュアーで鑑賞するのもおもしろい。ブランクリールは昔に比べて手に入れにくくなっているし、保管状態によっては表面にバブルと呼ばれるデコボコが生じているものもあるので注意したい。デコボコがあっても使えないわけじゃありませんけどね。
もうひとつ注意したいのは、前にも紹介した通り専用のフィルムカッターが必要です。カッターを使えば、左右のコマを最適な位置関係で簡単に切り抜くことができます。ちょうど紙パンチのような構造のもの。これがまた手に入れにくい。手に入っても切れ味が悪かったりもするので、状態を良く確かめて買ってください。とはいえ通販では確認はまず無理なので、ebeyなんかで手に入れるときはちょっとした冒険をしなければなりません。でもでも、カッターを使わず、はさみで切り抜くのはホントウに超人的な精神力が必要です。僕にはできません。
▲いまどきのビュアー ▲パーソナル専用フィルムカッター
投稿者 sekiguchi : 2008年04月26日 21:50
ビューマスター・パーソナルのひみつ
リアリストとは全く異なるフォーマットのカメラである。ビューマスター・リールと呼ばれるディスクに7組のステレオペアのスライドをセットし、専用のビュアーで観賞する。ビュアーのレバーを操作すると順番に画面が切り替わる。これは玩具として現在も販売されている、観賞専用のビューマスター・リールと同じフォーマットである。現在も販売されているといっても、日本国内で販売店を見つけるのは難しい。海外の玩具店では定番商品として店頭に並べられており、アメリカのみならずヨーロッパの空港の売店でも普通にビュアーと現行ソフトを探すことができる。この他には海外通販で新品のビュアーを購入することができる。
このカメラはユニークで、フィルムの上下を2分割して使用し、巻き上げながら上段で撮影したらレンズを下段にセットして巻き戻しながら撮影を継続する。詳しいことは他でも紹介されているのでここでは割愛するが、タテ8mm、ヨコ11mmの小画面ながら、十分楽しめる画質で撮影することができる。レンズは25mmf3.5であり、普通の画面サイズなら広角レンズになるが、画面サイズが小さいため画角としてはリアリストよりも狭くなっている。画面サイズとレンズ焦点距離の関係で被写界深度を大きく取ることができるので、パンフォーカスでの撮影が容易にできる。それ故、フォーカス機構がない。
メカとしてのカメラ機構は非常に丁寧に作られており、ファインダー内に水準器がついていたり、シャッタースピードと絞りの設定が簡易露出盤を兼ねた配置になっていたりと操作面でも優れたデザインだ。現像後のフィルムは専用カッターでリールにセットできるように切り抜く必要があり、カッターなしでこの作業を行うのは極めて困難。残念なのはブランクリールの製造が数年前にストップしており、デッドストックを高値で入手せねばならない状況が続いている。使って楽しいシステムだから、一日も早いリール供給の再開が望まれる。
投稿者 sekiguchi : 2008年04月19日 22:25
ウオーレンサック・ステレオ10のひみつ
数あるステレオカメラの中で、レンズのF値が2.7の明るいレンズを持った唯一のカメラです。リベアステレオと同じボディと聞きます(リベア、持っていないんです)。画面はリアリストサイズで、距離計連動式のフォーカス機構があり、リアリストと同じようにフィルムレールが動いてピント合わせをします。ズシリと重い感じがするけど、実際にはリアリストよりも20グラム程度しか重くはないのです。重厚な雰囲気と、マーケットでも高値で取り引きされていることから「キングofステレオ」と呼ぶ人もいます。
いつかは使ってみたいとebayを監視していて、かなりくたびれた感じの一台を落札することができました。外観はともかく、このレンズを使ってみたい、という思いで安いものを探していたんです。実際、だいぶ安かったんですけどね。
で、到着した物件を確認すると、メカ的には特に問題はないものの相当にくたびれたものでした(笑)。ちょっと掃除をしてやろうとしたら、革がはがれる。しかもボロボロと(笑)。他にもだいぶアカが溜まってる(笑)。僕には変な癖というか、感覚というものがありまして、中古のものは一度自分で徹底的に掃除をするとか、メンテナンスをするとかしないと自分のものにならないんです。そのまま使っても何だか他人のカメラを使って撮影しているようで集中できない。
このカメラも同じようにメンテナンスをしてやろうと思ったんだけど、どうにも分解の手順が分からない。あちこちいじっていると左右のレンズで組立方が違うことが分かったり…とにかく、一筋縄ではいかないところはキングだなぁと思った次第。面白そうなカメラなので皮革もオリジナルに近い状態で再生してあげたい。そんなふうに思っているうち、月日だけが過ぎてゆき。。。というわけで、このカメラはまだ僕のものになっていないのです。テスト撮影もまだ。ですから、ウオーレンサックのひみつはこれから明らかにされるのでした。おたのしみに(いつのことやら)。
▲まだ値札がついたまま(笑)
投稿者 sekiguchi : 2008年04月12日 21:25
デュプレックス・スーパー120のひみつ
横長スタイルばかりのステレオカメラの中で、ちょっと変わったかたちのイタリアカメラ。というのもブローニーフィルムを使うのだ。6センチ幅のフィルムに、なかよくリアリストサイズの画面が並ぶように撮れる。ただし、リアリストのステレオベースの半分ほどしかないので立体感がやや乏しい。反面、近距離の被写体に対してはマウント時にステレオウインドウが作りやすい。レンズは35mm/F3.5で、描写はふわっとした感じ。コントラストはやや低い。リアリストの硬調な描写とは対照的だ。
このカメラはマーケットになかなか出ないし、ちょっと高価な部類になる。僕のはフィルム圧板が取れかけていたり、レンズキャップも紛失していて割安で手に入れることができたもの。ファインダーも分解掃除して、機構のメンテナンスもしてみた。
レンズキャップは家具の滑り止めに貼るゴムシートを使って自作した。二種類の円形パッドを組合わせ、ナイロンコードで繋いだ。一見自作には見えない仕上がりにとても満足。ストラップ金具が特殊だが、これも自作のストラップを付けてみた。他のどんなカメラにも無い独自のスタイル。持っているだけで楽しくなるデザインだ。
気を付けなきゃならないのは、フィルムの巻き上げだ。ノブを回してもロックがかからない。ブローニー(120)の裏紙の番号を裏板の小さな窓に合うように回すのだが、慌てているとうっかり巻きすぎたりしてしまう。
このカメラは独特のスタイルで威圧感もないし、描写からしてもポートレートに使うのに適しているんじゃないかな。ただ、シンクロ接点があるのにシューがないから、ブラケット式のストロボを使わなきゃならない。そんなことをしたら、せっかくのコンパクト性が台無しです。上下を逆さまにして、三脚ネジ穴にアダプター・シューを付け、小さなストロボを付けてはどうだろう。おでこホールド&左手親指シャッター押しの、気軽なスナップ・ステレオカメラとして使えそうである。
投稿者 sekiguchi : 2008年04月05日 11:25