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ヨーロピアン改造の実際(2)
スプロケットギアの軸受位置をシフトする部品をヤスリで仕上げる。もとの軸受穴はハンドドリルなどでこの部品が入るように広げておく。部品を埋め込むには2液硬化型のエポキシ接着剤を使う。充填材の役目も果たすので便利である。硬化する前に軸の代わりの棒材を通し、軸が斜めにならないように微調整をする。これを怠ると組み立てるときに軸がセットできない。もし接着に失敗したら、レールごとお湯で煮れば剥がすことができる。
次に行わなければならないのが、フィルムレールのマスクを広げる作業だ。レールは鋳造アルミなのでヤスリで削りやすい。あらかじめ広げる寸法を測り、マーキングして削り過ぎないように注意する。フィルム送りとステレオベースの関係で画面横幅を広げられる寸法には限度があるが、マウント時の調整しろを考慮して幅31mm程度にするのがベストだろう。削った面は最後につや消し黒色塗装をして仕上げる。
今回の改造でもう一つ忘れてはならないポイントがある。巻き上げの制御は撮影者が行わなければならないので、そのインジケーターとなる指標を枚数カウンターに標示しなければならない。1-3-1-3の間隔で印をつければよいだけだ。作例ではボディの全面ブラック化の塗装を施すことにし、カウンター指標をパテ埋めして指標を作り変えている。このようにして視認性を良くしても、3回巻上げをするべきところの途中で撮影してしまう失敗が発生しやすい。これを防止するため、シャッターボタンのロックを巻上げ時に解除するパーツの一部を曲げ加工し、自動解除ができないようにした。撮影者にとっては動作が増えるが、巻き上げて枚数指標を確認し、多重露出ノブを引いてシャッターロックを解除してスタンバイ状態となる。これでほぼ撮影ミスは防止できる。
リアリストのシャープなレンズをヨーロピアンで使えることの魅力は大きい。
※つや消し黒のウレタン塗装とトカゲ革への貼り替えをしている。
投稿者 sekiguchi : 2007年03月18日 11:44
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