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ヨーロピアン改造の問題点
ヨーロピアンフォーマットはリアリストよりも横に2パーフォレーション長い。このため、7-Pとか、P-7とも呼ばれる。フォーマットの違いによるカメラ機構の決定的な違いはフィルム送りの制御である。リアリストでは左右の画面の間に2コマ分のスペースを開けているため、巻き上げは常に10パーフォレーション分で制御すればよい。歯数10のスプロケットが1回転することで1サイクルの巻き上げ制御をすればよいので、機構を単純化することができる。これを14パーフォレーション制御にすれば同じ機構でヨーロピアンが作れるが、左右コマ間隔が広すぎ、ステレオベースが長大化する。これを回避するためにフィルムの送りをΩ型にすればコマ間隔を縮小できる。TDC・Vividはヨーロピアンフォーマットを前提に設計され、途中でリアリストフォーマットに変更されたという説がある。そうであればΩ型に近いフィルム送りはこのなごりかもしれない。
さて、ヨーロピアンカメラは左右のコマ間に1コマ分のスペースしか取れないため、フィルム送り制御は7-14-7パーフォレーションを繰り返す複雑な機構を内蔵せねばならない。リアリストを改造する業者は、この機構を追加しているようだ。これを個人レベルで行うには設計・部品調達も含め非常に困難なものになる。しかし、見方を変えてこの面倒な制御を撮影者が手動で行えば機構は非常に単純なものになる。セルフコッキングではないから、歯数7のスプロケットギアに交換して1回-3回-1回の巻上げ操作を行えばいいだけだ。撮影者がフィルム送りカウンターの刻印を見ながら巻き上げのコントロールをする。リアリストをヨーロピアンに改造するための技術的ハードルは、これだけで個人レベルの改造を実現できるまでに低くすることができる。では、次回は実際に改造した要領について紹介しよう。
投稿者 sekiguchi : 2007年03月18日 11:38
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