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シャッターの作動不良
自家修理の中でもなかなか手を出せないのがレンズとシャッターであり、聖域である。しかし、撮影に直接影響するところでもあり、シャッターは故障の多い部位でもある。リアリストの場合、高速側のシャッターは作動するが、低速側が作動しない、もしくは不安定であるという例が多い。これはスローガバナー①の油脂類が酸化して固化し、ガバナーが正常に動いていないことがほとんどだ。このガバナーの組立は、ボディにセットするときに微妙な位置調整が必要なため、安易な取り外しはもちろん、ネジを緩めるのもいけない。
簡単に対処する場合は、正面から見える軸受部②にごく少量のベンジンなどの揮発油を染み込ませ、繰り返し動かすことで固着を除去する。この方法で多くの場合は復活をするが、この後に軸受部に給油する場合は注意が必要である。軸受に使用される油脂の種類は数多く、精密機械の組立にはその機械の用途によって使い分けられている。その選定は専門家に委ねられるところであるから、このコラムではどの油が適切であるかは明言できない。もし適当な精密機器用油脂が入手でき、給油する場合であっても軸受部にはごく少量の塗布で足りる。多過ぎる給油はかえって抵抗になり、不要な部位に回りこんで作動を不安定にする。もし給油する場合は、揮発油で薄めてごく少量を差し入れる程度にしたい。
ガバナーが動くようになったら、どの程度のシャッタースピードが出ているか確認する必要があるが、測定器がない場合は1秒の設定で作動音と時計の目視で判断する以外にない。おおよそ1秒で開閉されているのであれば、その他のシャッタースピード設定でもおおむねその通りになっていると信じるしかない。ただし、ガバナーのネジに触れていないことが前提だ。繰り返すが、ガバナーの組立は聖域だ。緩めるだけで設定が変わってしまうから、安易に手を出してはならない。
投稿者 sekiguchi : 2007年02月25日 17:08
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