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遮光対策
モルトプレーンは黒いスポンジ状の素材で、弾力があり、裏蓋との接合部分や隙間を埋めるために多用された、優れた遮光材である。少し前のカメラには必ずといってよいほど使われているが、モルトプレーンは樹脂製で、経年変化により劣化し、たいていの場合はペースト状に変質してしまう。最近のクラカメブームでもこのモルトプレーンの交換方法がよく話題になるのはこのためである。しかし、リアリストは遮光にモルトプレーンを一切使っていない。使っていないというよりは、このような樹脂材料が工業ベースで使われるには時代が早かったと見るべきだろう。リアリストの遮光は、勘合部の構造で対処しているのである。遮光材に限らず、生産された時代の背景から、劣化する素材を使用していなかった。それ故、今でも実用機として使用できるのだ。果たしてあと半世紀後、現代のカメラは実用に耐えるだろうか。
リアリストは、製造当時のフィルムが低感度だったために顕在化しなかった現象が現れる。光線引きである。暗箱であるはずの筐体に外部からの迷光が入り、フィルムを感光させてしまう。これはなんとしても対処せねばならない。リアリストの光漏れ発見方法については他でも紹介されているので詳細は紹介しないが、初めて入手した機体や、光線引きを生じた機体には次の処方が有効である。簡単な方法なので是非トライしてほしい。
光線漏れの場所はたいていの場合、①で示す裏蓋の接合部だ。蓋が変形して生じているのではない限りこの部分に遮光材を置く事で解決する。遮光材は先に紹介したモルトプレーン②が有効だ。修理パーツとして市販されている。厚さはあまり厚くないほうが良い。厚いものや、他の弾力に乏しい素材だと蓋のロックが極端に重くなる。接合部をカバーするように両面テープで貼り付ければ完全に遮光される。
投稿者 sekiguchi : 2006年05月28日 14:47
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