STEREO CLUB TOKYO

« 分解室にようこそ | メイン | レンジファインダーの調整(後編) »

レンジファインダーの調整(前編)

 レンジファインダーでフォーカスを合わせても、フィルム上で正しく結像しなければ撮影者の意図を反映できないことになる。メンテナンスではフィルム面位置の像を確認しながら、近距離も含めたフォーカス範囲で実用的な調整をする。つまり、ステレオゆえに2~3メートル先の被写体を主に撮るなら、その距離でレンジファインダーが正確になるように調整しておくのが正しい。実は、リアリストでは近距離で調整をすると無限遠ではレンジファインダーの像が僅かだが合致しない。これは、このカメラの設計上の許容誤差である。よく、レンジファインダーの精度を議論する上で基線長の長さを引き合いに出し、長いほうが高精度と結論付けるケースがあるがこれは誤りである。許容誤差がどのように設計上考慮されているのかを検証に入れなければ比較は無意味である。
 さて、近距離用の調整は余計に手間がかかるし、フォーカスダイヤルがINF.でレンジファインダー内の遠方像がずれるのも精神的に良くない。実用上は無限遠で調整しても大きな支障はないので、比較的簡単な無限遠起点の調整方法を紹介しよう。簡単なのは裏蓋をあけ、下部にあるプラグ①を外して内部の調整ネジを回す。しかし後期型はプラグを外すのに特殊工具が必要だ。前後期のいずれにせよ調整後のネジは振動でずれやすいので、ネジの回り止めを施工するためにも底蓋をあけて調整する方法がベストだ。レンジファインダーのひみつは、カメラの底部にかくされている。底蓋を開けてそのひみつを知り、調整をしてみようではないか。
 底蓋を開けるには革を剥がし、その下に隠れているネジを外さねばならない。革はヤギの本革だ。慎重に、破かないように作業をする。コツとしては、端のほうからナイフを入れて、接着剤を少しずつ切るようにする。決して強く引っ張らないこと。このオペはここだけ勇気が必要。断念するなら今のうちだ。やってみようという人は後編を待ちたまえ。

#A1.jpg

投稿者 sekiguchi : 2005年11月06日 13:25


URL: http://here.there.jp/mt-tb_there.cgi/881