STEREO CLUB TOKYO

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ダイヤル・フォーカシング

 さて、前回フォーカスの話題が出たのでその話。リアリストのピント合わせは変っている。ダイヤルを回すとレンズではなくフィルム位置が移動するのだ。普通のカメラのレンズは円筒形なのでネジを使った簡単な繰り出し機構で済む。でも、レンズが二つあるステレオカメラではレンズボードごと繰り出さなくてはならなくなる。重いレンズボードを平行を保ってスムーズに動かすのは難しい。だけど、カメラ内部でフィルムを動かせば、動く部品は軽くて済むし、可動部の遮光も考慮しなくていい。しかも、レンズボードが固定だとレンズ周りの機械が単純にできるのだ。機械構造はシンプルな方がトラブルが少ない。つまり、壊れにくいことにもつながっている。いいこと尽くめですね。
 フィルムが乗るレールは軽くできていて、大型の圧板でフィルムを挟んで前後に移動する。このレール、よく見ると現代のカメラとは少し違ってる。現代のカメラはレールと圧板でフィルムの厚さ分のトンネルを作ってここにフィルムを通しているのだ。こうすると巻き上げの抵抗が小さくなるのだが、リアリストの時代はそうはしなかったようです。レールと圧板とでフィルムをしっかり挟んでいる。リアリストの巻き上げは少し重いことがあるけど、その理由はこんなところにある。
 ところで、東欧旅行で現地の人にカメラの使い方を聞かれた時、焦点合わせを「ピント」と言ったら「ピンク?なんだそれ?ピンク?」と突っ込まれた。ピンク、ピンクと連呼され、なんだか恥ずかしい。ピントとはオランダ語の”brandpunt”から来ているらしい。
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投稿者 sekiguchi : 2004年08月28日 02:23

左手シャッターボタンの謎

 さて、誰もが一番とまどうのがシャッターボタンの位置だ。普段カメラを使わない人だって「何でヒダリなの?」と思うだろう。だけど、そう思う人はたいてい右利きの人だ。左利きの人ならそうは思わないだろうということで、「これは左利きの人のために作ったか、作った人が左利きだったのだ」と結論付ける御仁も多いのです。しかし、50年前の工業製品とは言え、右利きの人が使いづらい製品を良く考えずにマーケットに投入する、そんなことは企業戦略として考えにくい。右利きの世の中で、右利きの人が使いやすい製品を作ることは当たり前で、使いづらいものを作れば売れ行き不振で会社倒産だってありうる。だから社長さんは左利きの人のことなんてあんまり考えないのだ。まったく、左利きの人には気の毒な話しなのだけど。じゃあ、昔のアメリカ人は左利きが多かったか、というとそんな事実はない。調べたのかと問われても困るけど。
 でもこのカメラ、左利きの人にとって使い良いかというとそうでもない。巻き上げは右手用デザインだし、フォーカシングも右手じゃないとできない。どうやら、設計者は右手と左手にフォーカスとシャッターの操作を分業させたようだ。左フォーカス・右シャッターでも良さそうだが、ダイヤル式のフォーカスは左手では操作しにくい。一方、シャッターは押すだけだから左手でも簡単なはず。フォーカスを合わせ、持ち替えずにシャッターを切る。カメラホールドを崩さずに一連の動作ができること、そのための左シャッターデザインだと考えるとなるほどなぁと思えてくるのである。シャッターボタンは重要だから右にあるべきという人もいるだろう。でも、発想の転換で左に置いた設計思想は実にすばらしい、と思うんだけど。
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投稿者 sekiguchi : 2004年08月25日 02:10

STEREO Realist解剖室にようこそ。

 この部屋では文字通り、リアリストの解剖(分解)をしてメカニックのひみつを解き明かしたりします。この他にも、自家修理方法、改造の方法なんかも紹介します。深くリアリストのひみつを探ってみましょう。どうぞ宜しくお付き合いのほど。

 さて、毎日がリアリスト、毎日がステレオカメラの日々を送っていると、その奇妙なカメラに慣れてくる。二つ目のカメラが当たり前に見えてくる。だけれども、初めて手にしたときは何もかもが奇妙だ。シャッターボタンが左にある、ファインダーの覗き口がボディの下側にある、普通に構えるとレンジファインダーの窓を指で塞いでしまう。どういうつもりで創られたのか?分解する前に、まずは各部についてあれこれ考えてみよう。

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投稿者 sekiguchi : 2004年08月25日 02:03 | トラックバック