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ダイヤル・フォーカシング
さて、前回フォーカスの話題が出たのでその話。リアリストのピント合わせは変っている。ダイヤルを回すとレンズではなくフィルム位置が移動するのだ。普通のカメラのレンズは円筒形なのでネジを使った簡単な繰り出し機構で済む。でも、レンズが二つあるステレオカメラではレンズボードごと繰り出さなくてはならなくなる。重いレンズボードを平行を保ってスムーズに動かすのは難しい。だけど、カメラ内部でフィルムを動かせば、動く部品は軽くて済むし、可動部の遮光も考慮しなくていい。しかも、レンズボードが固定だとレンズ周りの機械が単純にできるのだ。機械構造はシンプルな方がトラブルが少ない。つまり、壊れにくいことにもつながっている。いいこと尽くめですね。
フィルムが乗るレールは軽くできていて、大型の圧板でフィルムを挟んで前後に移動する。このレール、よく見ると現代のカメラとは少し違ってる。現代のカメラはレールと圧板でフィルムの厚さ分のトンネルを作ってここにフィルムを通しているのだ。こうすると巻き上げの抵抗が小さくなるのだが、リアリストの時代はそうはしなかったようです。レールと圧板とでフィルムをしっかり挟んでいる。リアリストの巻き上げは少し重いことがあるけど、その理由はこんなところにある。
ところで、東欧旅行で現地の人にカメラの使い方を聞かれた時、焦点合わせを「ピント」と言ったら「ピンク?なんだそれ?ピンク?」と突っ込まれた。ピンク、ピンクと連呼され、なんだか恥ずかしい。ピントとはオランダ語の”brandpunt”から来ているらしい。
投稿者 sekiguchi : 2004年08月28日 02:23
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