home > Stereo New England・ミーティング参加レポートその1

大谷和利


1998年12月11日の
STEREO CLUB例会当日に届いた、
大谷さんからのメッセージです。
これがHoberman Sphereだ!->

 去る11月15日(1998年)にボストン近郊のフレッシュポンドでSNEことStereo New Englandという愛好会のミーティングが開かれ、偶然にも参加することができたので、簡単なレポートをお届けしよう。
 SNEは、年4回このようなミーティングを開いており、今回は特にこの直前にボストンのワールドトレードセンター(MacWORLDExpoが開かれる場所と同じ)でHant's Photo & Video Showという写真器材の展示即売会が開かれた際に、ブースを出していたことから関心が高まり、まったくの初心者を含めて150人以上に上る参加者が集まった。会費、参加費共に無料ということで、完全にボランティアベースで運営されている。
 かく言う僕も、Hunt'sのショーでミーティングのことを知り、参加したのである。


イベント開始時刻には部屋はほぼ満員となり、座席の埋まり方からすると150名以上の参加者数だったと思う。

老若男女、さまざまな人が参加していたが、今回が初めてという人も結構多いようだった。マイステレオグラス(偏光眼鏡)を持ち込む老夫婦も居て、ほのぼのとした雰囲気。

SNEのミーティング会場は、世話人の一人が勤めるGTE(通信関連企業)のオーディトリウムだった。

 ミーティングは三部構成で、まず午後1時45分からミニ・トレード・フェアとオークション。ミニ・トレード・フェアはバザー的なステレオ用品の販売会である。と言っても、いくつかの会議机の上に、何人かが扱い商品を並べて販売するというもので、アットホームなものだ。
 僕は、例のステレオクラブ特製のリアリストTシャツを着ていったのだが、何人もの人から"Nice!"、"Good"、"Ilike it!"と声をかけられ、「ここで売ったら大人気になるぞ」と言われてしまった(岡野さん、次のミーティングまでに増産してこちらで販売し、クラブ運営費に充てましょう。ホームページでも販売できることだし…)。


ビューマスタービューワーも色々な年代のものが販売されていた。

そして、ビューマスターリールの山。古いものは、何枚かのセットで十数ドル~二十数ドルくらい。

 オークションは、使っていないステレオ用品や余ったコレクションを会員から募り、それをミーティングで売って会の運営費に充てるというものだ。司会者の進行も軽妙かつスピーディで、あっという間にすべての品物がはけてしまった。リアリストのアウトフィットバッグが数十ドルと破格の値段で引き取られたりして、僕も買っておけば良かったなどと、今になって後悔している。


こちらは運営費に充てられるオークション用の品々。ほとんどが会員(会費無料)から寄付されたものである。中にはMAGIC-EYE(ランダムドットステレオグラムの本。右上)や、ノーマン・ロックウェルが描いたステレオビューワーを覗く子供のポスター(右下)などの変わり種も…

これもオークション用の雑誌。50年代の普通のグラフ誌だが、リアリストの広告が載っていたりすると俄然価値が出てしまう(もちろん、このコミュニティだけでの話だが)

ここはステレオ写真の解説書や機材の取説、RBT(2つのカメラを加工して1台のステレオカメラを作っているヨーロッパのメーカー)のカタログなどが置いてあるブース。

同じブースを別の角度で。ビューワーは簡易タイプから手作りの高級品まで色々。これらは、ステレオ用品で有名な3DConseptsのオーナーJon Goldenさんが持ち込んだ品々だ。

 次に、午後2時45分から、参加者の自慢の一品の紹介コーナー。今回は、古い回転式のステレオビューワーをのみの市でたった35ドルで手に入れたというおじさんが登場して、みんなの羨望の眼差しを受けていた。何でも、売っていた人はまったくこの装置に関する知識がなく、医療器具か何かだと思っていたようだ。このおじさんも、素知らぬふりをして、驚くほど安く手に入れたのだが、ちゃんと完動品で、掘り出し物だったというわけだ。


自慢の一品を紹介するコーナーもある。このおじさんは、のみの市で35ドルで手に入れたという古い回転式のステレオビューワーを持ち込んできた。

熱心に説明する回転式ステレオビューワーのオーナー(左)と聞き入る参加者。

代わる代わるのぞき込んでは、しきりに感心する参加者たち。

中身はこうなっている。シリンダー状のベース部分の円周に沿って走るゴムバンドのようなものに、スライドを挟んで留めるのだ。リアリストではなく、ヨーロッパフォーマットのようだ。

 そして3時15分から、プレゼンテーション。これは、ゲストによる自作(または、主宰者がどこからか借り出してきた有名なステレオ作品)の上演と、参加者による作品の上映にわかれ、今回、前者はマクロステレオの話とマルチステレオプロジェクターによるディメンショナルジャーニーで構成されていた。ディメンショナルジャーニーは、Dr.DaveことDave Kesner氏から借りてきた作品で、洞窟探検から空の冒険までを一連のスライドで描く大河ステレオショー(ちょっと大げさ)である。これは物語性があって、なかなか見応えがあった。
 参加者の作品は、何しろ人数が多いので、1人6スライドに限定されていたが、20人以上が作品を披露し、僕も浅草撮影会や春先のボストンで撮影したモノクロイメージなどを見せて手前味噌ながら人気を博した(まさか、こんなイベントがあるとは知らなかったので、作品の大半を日本に置いてきてしまったのが残念だ)。
 ちなみにアグファのモノクロスライドフィルムはこちらでも人気で、上映作品の大半はカラーだったが、たいていの人が試しているようだ。最も興味深い作品は、商業映画のプロダクションのスタッフが趣味で撮っているもので、実際に映画館で上映された映画のセットや出演した俳優などをステレオで捉えたものだった。性格女優のシシー・スペイセクのステレオ写真などというものは、滅多にお目にかかれないだろう。

 そういうわけで、おそるべきニューイングランド人のステレオへの情熱。僕たちステレオクラブも負けずに頑張りましょう。

History of regular meeting

1996 第1回12月20日 写真 ≫
1997 第2回3月14日 ステレオ写真 ≫ 第3回6月27日 第4回9月26日 第5回12月5日
1998 第6回3月13日 第7回7月10日 第8回9月25日 第9回12月11日
1999 第10回4月30日 第11回10月8日
2000 第12回例会 2月10日 第13回5月12日 第14回10月13日
2001 第15回1月28日 第16回12月1日
2002 第17回4月6日 第18回7月27日 第19回10月19日 第20回12月13日
2003 第21回3月14日 第22回8月2日 第23回11月1日
2004 第24回例会 2月28日 第25回6月5日 第26回9月4日 第27回12月4日
2005 第28回5月14日 第29回9月10日
2006 第30回10月21日
2007 第31回3月3日 ステレオピンホール写真 ≫ 第32回7月1日 第33回9月29日 第34回12月1日
2008 第35回3月1日 第36回6月7日 パノラマ写真 ≫ 第37回9月13日 第38回12月6日 パノラマ写真 ≫
2009 第39回3月14日 パノラマ写真 ≫ 第40回6月20日 パノラマ写真 ≫ 第41回10月17日 パノラマ写真 ≫ 第42回12月27日 パノラマ写真 ≫
2010 第43回3月13日 パノラマ写真 ≫ 第44回6月5日 パノラマ写真 ≫ 第45回9月4日 第46回11月27日 パノラマ写真 ≫
2011 第47回4月16日 パノラマ写真 ≫ 第48回10月16日 パノラマ写真 ≫ 第49回12月10日
2012 第50回4月14日 第51回10月6日 第52回1月12日(2013)
2013 第53回4月20日

第1回花房山ハイツ第2〜15回ヒルズ花房山第16〜40回天王洲ビュータワー第41回〜パラボリカ・ビス

パノラマ写真は岩本朗さんと角田孝さんの作品です。高解像度のオリジナル作品がこちらのサイトでご覧になれます。ピクセル・アートワークス Pixel Artworx ≫